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開館時間

中央・iプラザ 9:00-20:00
第一~第四 10:00-17:00
*7月21日~8月31日 
 火~土曜日:9:00-18:00
 日曜日:9:00-17:00
 

iブラリブログ

おすすめ資料
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2025/11/20new

「アートのお値段」

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タイトル:「アートのお値段
監督:ナサニエル・カーン
請求記号:D7BK/ア
資料コード:630322772

「芸術の価値って、いったい誰が決めるんだろう?」

そんな問いを投げかけるようなドキュメンタリー映画が、「アートのお値段(The Price of Everything)」です。(2018年製作なので、コロナ前のお話です。)
言わずと知れた、ニューヨークにあるサザビーズでアート作品のオークションが迫る中、6週間にわたって美術界の有力者たちにカメラを向け、現代アート市場の華やかさと、その裏にあるお金の動き、思惑や本音をリアルに映し出した、アートとお金の関係を探ったドキュメンタリーです。

「いつからアートが商品になったのか?誰が何のために買っているのか?そもそも、アートの値段・価値って何だろう?」

映画の中では、オークショニア、ギャラリスト、評論家、コレクター、そしてジェフ・クーンズ、ゲルハルト・リヒター、ラリー・プーンズといった一流のアーティストたちが(名前はピンとこないけれど、作品は見たことがある!かも?レベルのずぶの素人の私。。。)、それぞれの立場で「アートの価値」について語ります。アートが「投資対象」として扱われる現実や、バブル化していく市場の熱狂とその裏側が映し出されていきます。
さらに、オークション当日の様子を通して、作品に付けられた「値段」が本当の意味でのアートの価値を決定づけるのか、という問いが投げかけられていきます。彼らの言葉からは、「芸術とは何か」「価値とはどこから生まれるのか」という答えのない答えに対して、皮肉や辛辣さを込めながらも、みな冷静に、真摯に、愛を持ってアートに向き合っていることが伝わってきます。

この作品を観ていて強く感じたのは、アートの世界は本当に水ものだということです。ある作品が誰かに高く評価されることで、突然その「価値」が跳ね上がる。けれど、意図してか意図せざるかにかかわらず、その評価が変われば、世の中の興味関心から一瞬にして消え去っていくのです。アーティストたちも、それを嫌というほど知っていて、その中で自分の本当に大事にしたいものは守りながら、日々創作活動を行っているのです。
また、アーティストだけでは完結しない芸術の中で、作品を生み出す人、買う人、見せる人、語る人、見る人、そのすべてが関わり合って初めて「アート」というものが成り立ち「価値」が生まれる。そう思うと、微々たるものですが自分もそこにかかわっているんだという思いと、ほんの少しですが、芸術やアートに対して背筋を正す気持ちにもなりました。

現代アートに詳しくなくても、アートという言葉の奥にある「人の価値観」や「お金との付き合い方」に気づかされる、そんな作品です。芸術が好きな人も、そうでない人も、「価値ってなんだろう?」と一度立ち止まって考えてみたくなる、そんなきっかけをくれる映画です。
そして何より、この映画を通して、画面越しにさまざまなアート作品を鑑賞することができます。
今はまだ、ぎりぎり秋!!芸術の秋ということで、美術館に足を運んで本物のアートにも触れてみたくなりました。



09:00
2025/11/20new

今から身につける「投資の心得」10歳から知っておきたいお金の育て方

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監修:八木 陽子
資料コード:612270408
請求記号:Y338.1

まさにタイトルの通り、投資とは何か?というところから、とても分かりやすく解説している本で、稲城市立図書館ではYA(ヤングアダルト)の分類で入れていますが、小学生からでも親子でも、十分楽しめる知識本です。

実はこの本、最近株式運用を始めた子どものために借りたもの。
事の始まりは、タブレットで毎日のようにダウ平均株価の値動きをチェックしている子どもを見かけたことがきっかけでした。

もともと数字対して興味があり算数も好きだった我が子。最初はダウ平均が何のことなのかも知らず、たまたまタブレットのトップ画面にあったものを見つけ、「今日はすごい上がった!」など、毎日の数字の上下を楽しんでいるだけだった様でした。

私自身、前職が金融機関だった事もあり、自分の余剰資金でお小遣い稼ぎ程度に運用をしていましたが、今まで投資は子どもには縁のないものと勝手に思いこみ、話をしたことはありませんでした。子ども自らが相場に興味を示した事に、自分の知らない所で成長していたんだという驚きと、自分の固定観念を反省しつつ、「相場に興味があるなら、自分でやってみる?」と声をかけました。

この本に登場する先生方のように、未成年口座の開設をしたりドル円レート換算でお小遣いを渡すといった本格的な事はしませんが、手始めに私の証券口座で1つだけ株式を運用させてあげる事にしました。運用資金もミニ株投資しか出来ないような少額に設定しましたが、利益が出た分を自分のお小遣いにしてよい事にすると、本人なりに真剣に調べて株を選び、日々の相場をチェックするようになりました。

現状あくまでも本人の自己満足程度のものにしかなっていませんが、子ども自身が自分で投資の世界に足を踏み入れた事で、自然に社会やニュースに興味を持つようになり、世の中の動きを大きく捉えるように視点が広がった事は間違いありません。

自分が子どもの頃はこういった知識に対して無知であり、株の値動きや為替レートもテレビのニュースや新聞で横目に見ているだけであったのに対し、最近の子ども達は一人一台スマホやタブレット保有が当たり前で、最新ニュースや相場も簡単にチェックできる世の中です。

実は昔よりも意外とそばにある投資の世界をのぞき、学校の勉強ではなかなか得られないスキルを身につけるのも現代風の生き方の一つかもしれません。



09:00
2025/10/20

島津亜矢

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タイトル :「SINGER7
責任表示 :島津亜矢
請求記号 :C7CB/シ 
資料コード: 630326708


 先月、島津亜矢さんのコンサートに行きました。普段全く異なるジャンルの音楽を聴く私が島津亜矢さんのコンサートに行くと周りに話すと、みんな口をそろえて「え?どうしちゃったの?演歌に目覚めた?」と驚かれました。しかし、私の島津亜矢さんへの想いはかれこれもう3‐4年になります。テレビの大型の音楽番組で、たびたび彼女が様々なジャンルの曲を完璧に、オリジナル以上にカバーするのを耳にして、この歌唱力を生で聴かずにはいられないと、そのチャンスを何年も伺っていました。たまに島津亜矢さんのコンサートの情報を見ても行けるタイミングは会場が微妙に遠かったり、近くでやる時には私のタイミングが合わずに何年もコンサートに行くことを先延ばしにしていました。しかし、やっとこの夏の終わりに、私が子どもの頃から何度も訪れている地元のホールでコンサートがあることを目にして、すぐに母と叔母、叔父を誘って行くことを決めました。

 いざコンサート当日、座席は2階席、70を超えた母と叔母、90近い叔父にとっては2階席までの道のりがなかなか大変でしたが、座席に着いて周りを見回すと、アラフィフの私がおそらく最年少ではいかと思う年齢層のお客様でした。1階最前列にはおそろいの法被を着た親衛隊というのでしょうか?熱心なファンの方々が座り、私の席の近くにもペンライトを持った年上のお姉さまがウキウキと開演を待っている様子に、どのジャンルの音楽でもファンのアーティストに対する気持ちは同じなんだと、私もとてもウキウキして開演を待ちました。

 そしていよいよコンサートが始まりました。
 真っ暗な会場から島津亜矢さんの声だけが響きます。その声量と歌の迫力に全身に鳥肌立って一瞬にしてその世界に入りこんでしまいました。ライトが当たるとすてきな黒い着物を着た島津亜矢さんが鎮座していました。前半は松田聖子さんの「青いサンゴ礁」など、私がテレビで魅了されたカバー曲や、アレサフランクリンの曲。どんな曲でも自分のものにして歌い上げていました。休憩を挟んで後半は彼女の本領発揮の演歌です。これまでカバー曲しか聴いたことがなかったのですが、やはり彼女の良さが発揮できるのは演歌なんですね。マイクがいらないのではないかと思う声量で、1曲だけでもマイクなしでホールを響かせて欲しいと願いながら聞き入りました。歌の途中にファンからかかる「あーやちゃーん!」のコールがまた盛り上げに一役買っていました。

 そして私がもう一つとても心地よかったのは彼女のトークです。言葉遣いがとても美しく、謙虚でユーモアもあり、師匠や周りの人への感謝の気持ちがストレートに伝わってきました。

 私の貧弱な文章力では、彼女の歌の素晴らしさを伝えることは難しいです。図書館には島津亜矢さんのCDが、紹介した以外にもたくさんあるので手に取ってぜひ聴いてみてください。

 コンサートのタイトルである「歌怪獣襲来」。まさに歌怪獣というものすごいタイトルに打ち勝つような素晴らしい歌を聴くことができ、幸せなひと時を過ごすことができました。


09:00
2025/10/20

ジジイの片づけ

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著者   沢野 ひとし
請求記号 914.6/サ
資料コート 510747183



  沢野ひとしという作者を知ったのは、近著の「ジジイの昭和絵日記」を読んでからです。
ひどいタイトルだと思いながら読んでみると、読みやすいし、心にすっと収まる内容でした。なかなかいいねと思って、2冊目に手に取ったのがこの本です。

  「ジジイの片づけ」は、誰か進言する人がいなかったのかと思わせる、相変わらずひどい(あくまで個人的感想)タイトルですが、終活を意識する年代には、くすっと笑えるし、うなずくところも多くあるエッセイです。
著者が描いているこの本のイラスト、見覚えありませか?というか結構あちこちで見かけます。
 簡単に描いているようで、下手なようで何故かいいねと思わせてしまうのは、沢野氏のセンスと実力のなせる業です
エッセイのなか所々に国立・多摩・町田と、稲城市と近隣の地名が出てきて、沢野氏はこのあたりにお住まいだったようで、勝手に親近感がわきます。もしかして稲城の図書館に何くわぬ顔でふらっと立ち寄られているかもしれません。楽しみです。

 「明窓(めいそう)浄机(じょうき)」を心掛け、朝起きたら窓を全開にして新鮮な空気を入れるとか。沢野氏は雨でもご家族の顰蹙(ひんしゅく)を買いながら全開にするそうですが、その後10分を片づけに費やし、机の雑巾がけまでするそうですばらしいですね。でも朝を清々しい気分で迎えたのに、片づけから入るのはもったいない気がします。なぜ前日に10分かけて片づけないのか不思議だったのですが、プロの仕事人の沢野氏は、まえの晩の仕事に全力を尽くされ、余力がない状態なのかもと好意的に解釈しておきます。

 あまり物に執着しないという沢野氏が惹かれたものが、原稿用紙だとか。コクヨの原稿用紙で、作文を書いたことしかない身にとっては未知の世界です。私にとって高級品は伊東屋の原稿用紙ぐらいですが、そもそも値段的にも家計が傾くはずもなく、積み重なった重さで床が軋む程度でしょうか。そんなに色々あるものなのかと、検索してみると確かにありました。凝った原稿用紙でもお手頃な値段だけに、購買意欲をそそります。溜まりにたまったそれをただ廃棄するのではなく、必要とされている方に譲るため、まとめて船便で中国へ送り出し、スッキリ片づけを済まされたとか、喜ばしいかぎりです。まさに片づけの極意の実践です。


ジジイシリーズのご紹介
「ジジイの昭和絵日記」 資料コード211231932 510839632
「ジジイの文房具」   資料コード510817840 
「ジジイの台所」    資料コード510787250


09:00
2025/10/20

シューベルト:ピアノ・ソナタ第18番,幻想曲ヘ短調 他

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アーティスト: マウリツィオ・ポリーニ , ダニエレ・ポリーニ
請求記号: C7CQ/シ
資料コード: 630345347


 まだ昭和のころ、10代の私の推しは何といってもピアニストのポリーニでした。中学2年の時に、ポリーニの演奏するショパンの練習曲のレコードを買ったことがきっかけでした。

 ポリーニ様はもちろん卓越したデモーニッシュと言ってもよいほどのテクニックの持ち主ですが、しばしば彫像に例えられるように、奏でられる曲の構築が本当に素晴らしいのです。私のような素人はピアノを弾いているうちに「この曲はどうなっているの?わけわかんない」的な音楽の迷子になってしまいがち。そんな曲もポリーニ様の手にかかると、スッキリ解決、作曲家が表現したかったことはこのことかと納得し、才能の彼我を感じるのでした。

 そのポリーニ様の最後の録音は、シューベルトの18番のピアノソナタ、およびご子息ダニエレ君との幻想曲の連弾です。私はシューベルトの音楽は好きなのですが、ピアノ・ソナタ、特に後期のソナタは長大なものが多く、聴いていると途中で集中力がなくなります。これはシューベルトのせいでは決してありません。シンコペーションで心踊るリズム、和音の連打の強弱による緊迫した雰囲気、唐突な転調など変化に富んでいます。なんといってもメロディーが大変美しい!それでも今回18番のソナタを聴く前は不安がありました。曲の最後まで起きていられるかな…。

 しかし、それは杞憂に終わりました。曲の最初の静かに始まる和音の連打、しみじみとした語り口で私たちを音楽の中に誘います。その世界は穏やかで喜びに彩られ、深い悩みや苦しみもやがて平安へと導かれるのでした。私も年を経て音楽に刺激を求めるのではなく、安らぎを求めるようになったのかもしれません。

 付属のライナーノートを読んでいると、ポリーニ様の演奏会やディスコグラフィについて語られており、ラジオに齧り付いて演奏会の実況放送を聴いていたころのことを懐かしく思い出しました。

ポリーニ様は私の永遠の推しです!


09:00
2025/09/27

ロールモデルがいない君へ

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*タイトル:ロールモデルがいない君へ

~6ヵ国育ちのナージャが聞くルーツが異なる12人の物語~

*著者:キリーロバ・ナージャ

*請求記号:Y361.5/

*資料コード:612435849

 

近年、ロールモデルという言葉を巷でよく耳にするようになりました。

ロールモデルとは、自分にとって具体的な行動や考え方の模範となる人物のことで、人は誰でも「あの人のようになりたい」というロールモデルを選んでいて、大なり小なりその影響を受けながら成長していくのだそうです。

本書は、ソ連(今のロシア)で生まれ、両親の転勤で日本、イギリス、フランス、アメリカ、カナダ各国の地元校で教育を受けた著者が、自身と似たような「周りの子や親とはルーツが違う中で育ってきた人」に話を聞き、今、日本で同じような状況にいる子どもたちや、そのような子の周りにいる人々へのメッセージをまとめたものです。

子どもの頃、あるいはティーンエイジャーの頃に、ロールモデルがいなかった12人のルーツが異なる仲間たちが、自らのライフストーリーをシェアすることで、次の世代にヒントとエールを贈りたいという想いから、この本は生まれたのです。

日本で生活していて、いわゆる「普通」に当てはまらない彼ら12人が、どのように思いどのように感じ、またどのように行動してどのように生きてきたのか。決して海の向こうの話ではなく、この日本で(もしかしたら、自分の極々身近で)少なからずこのような人生を実際に送ってきた人がいるのだと、非常に興味深く、また考えさせられる内容となっています。

読んでみて感じるのは、本書に登場する12人ほぼ全員が、成長していく過程において、自分は一体何者であるのか、自分のアイデンティティーに悩んでいた、ということです。

日本は、いわゆる単一民族国家(OECD/1の定義では、同一民族が95%以上を占める国を単一民族国家という)ということもあって、どうしても他人を肌の色や名前でカテゴライズしたがる、あるいはされる場合がいまだ少なくはなく、また自分と同じことに安心し、そうでないと判断するや排除しがちな傾向も相まって、そこが彼らを非常に苦しめていたことに気付かされます。

そして、まだ自分自身のアイデンティティーを持てていない頃から、周りの人に勝手に自分をカテゴライズされる経験を持つ彼らだからこそ、この日本でいうところの「当たり前」や「普通」に当てはまらない自分から、「自分は自分!」というアイデンティティーを見い出していくのは、ロールモデルが周りにいない彼らにとっては、とても孤独で困難で、そして大変な作業であったのではないかと思うのです。

 

本書を読むことで、海外にルーツを持ちながら日本で生活するマイノリティーの人、だけではなくて、そうではない圧倒的マジョリティーの人たちにとっても、今まで考えもしなかったことに気付くきっかけになるのではないかと思います。また、図書館ではヤングアダルト対象の資料ではありますが、自分が自分らしく生きるヒントや気づきがたくさん詰まった本でもあるので、そういった意味でも、世代に関係なく、より多くの方に読んでもらえたらと思います。

 

1/経済協力開発機構
09:00
2025/09/20

「みんなのアムステルダム国立美術館へ」

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監  督 :ウケ・ホーヘンダイク  
請求記号 :D7BK/ミ  
資料コード: 630217051



アムステルダム国立美術館は、レンブラントの『夜警』やフェルメールの『牛乳を注ぐ女』など、数々の傑作を所蔵するオランダ最大規模の美術館です。
ところが現在の美術館が再オープンするまでには、実に10年という長い歳月がかかりました。この作品はその10年をおったドキュメンタリー映画です。

では、なぜオランダ最大の国立美術館が、10年もの間、閉鎖されることとなったのでしょうか。

その理由は、オランダ人の生活スタイルと、美術館の構造にありました。

オランダは、世界一の自転車保有国であり、自転車は人々の生活に欠かせない存在です。
旧アムステルダム国立美術館の建物には中央を公道が通っており、そこを多くの自転車や歩行者が毎日行き交っていました。
ところが、新しい美術館の設計では、この公道が自転車で通りにくくなってしまうことが判明し、市民たちは「なぜ長年親しまれてきた道をなくすのか」と猛反発。強い抗議の声をあげました。

その結果、改修工事は一時中断を余儀なくされ、美術館と市民との対立は、やがて美術館と建築家・内装家との衝突にも発展します。
さらに、度重なる計画変更と工期の延長により、美術館の関係者も疲弊し、ついには館長が「人生すべてが美術館というわけではない」と言い残し、辞任してしまいます。

視聴者としては、最終的にはすべてがうまくいき再オープンの日を迎えるということがわかっていても、その道のりには思わずハラハラさせられました。

一つの作品を展示するために、作品の配置、展示場所、展示ケースにまでこだわり、作品と館内との調和を徹底的に追及する姿勢、また、壁の微妙な色合いにも一切の妥協を許さず建築家や内装家と納得のいくまで議論を重ねる美術館スタッフの姿には、並々ならぬプロ意識を感じました。

このような気の遠くなるような紆余曲折を経て、美術館はついにグランドオープンの日を迎えます。

この改修に携わった多くの人々の想いと情熱によって新たな歴史を刻み始めたアムステルダム国立美術館。
オランダ旅行を計画している方がいらしたら、この作品を観てから美術館を訪れることをおすすめします。より感慨深く、美術館を楽しめるのではないでしょうか。


09:00
2025/08/26

「YOASOBI」

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「YOASOBI」
タイトル『はじめての』
著者 島本理生 , 辻村深月 , 宮部みゆき , 森絵都/著  
請求記号 Y913.6/シ
資料番号 612254576

 世界的な人気を誇る音楽ユニットの「YOASOBI」。代表曲である『アイドル』や『夜に駆ける』は誰もが耳にしたことがあると思います。
 このYOASOBIは「小説を音楽にするユニット」としての側面もあるそうで、彼らのCDアルバムには短い小説がついており、そのタイトルも『THE BOOK』『THE BOOK2』『THE BOOK3』となっています。アルバムについている短い小説を読むと、曲の歌詞がより理解できるという点で、音楽性はもちろんのこと、このような一面も彼らの人気を後押ししているのかなと思っています。

 さて、今回オススメしたい作品は『THE BOOK3』のアルバムの最後の曲『好きだ』を小説化した『ヒカリノタネ』(森絵都/著)です。この作品は『はじめての』という4篇の短編小説の中の1つです。
 もともと何げなくこの『好きだ』を聞いていて、歌詞がとても面白く突っ込みどころがたくさんで、結末がとても気になっていたのです。
 「いざ彼に4回目の告白を」(え?同じ人に4回?!)
 「初めて想いを伝えた10年前」「次の5年前も軽すぎたし、次の3年前もそうだ」(ずいぶん長いこと一人の人が好きなんてすごいけど、ちょっと重い?)
 「さあタイムトラベルだ あの日まで取り返そう」(すみません、もう意味わかりません)
 「失敗してもいい、もう一度言うよ、私君のことが・・・」(で、結末どうなった?)
こんな歌詞なのです。そして更にこの恋愛の結末が気になる原因はボーカルのikuraさんの歌い方です。ハッピーなの?どうなの?と気になりすぎる歌い方で曲が終わるのです。私の中ではこの歌い方で結末を予想していました。しかし、『ヒカリノタネ』を読んでみると、ここではネタバレできない内容が多く、曲の理解度がとても上がりました。
 小説の内容を少し紹介すると「タイムトラベル」とは本当に自分の人生をやり直すべく、過去の3回の告白する瞬間に時間を戻して、告白を阻止しに行くのです。これまでの3回の告白をなかったことにして、今回の告白を初めてということにしたいという思惑です。タイムトラベルは成功し、彼女は4回目の告白をすると心に決め、実行に移します。さあ、結末やいかに!
 もしもこの作品に興味を持った方がいらっしゃれば、まず先入観を持たずに曲を先に聴いてみてください。そしてその答え合わせとして小説を読むことをオススメします。
 
 ご参考
『はじめての』
・私だけの所有者(島本理生/著)曲名「ミスター」
・ユーレイ(辻村深月/著) 曲名「海のまにまに」
・色違いのトランプ(宮部みゆき/著)曲名「セブンティーン」
・ヒカリノタネ(森絵都/著) 曲名「好きだ」
『夜に駆ける』
著者星野舞夜 , いしき蒼太 ,しなの ,水上下波, 橋爪駿輝/著  
請求記号 Y913.6/ホ
資料番号 612176952
(YOASOBIの楽曲:『夜に駆ける』『あの夢をなぞって』『たぶん』「アンコール』「ハルジオン』

視聴覚資料(CD)『THE BOOK3』
資料番号 530044930(iプラザ所蔵)
請求記号 C7CA/ヨ




 


09:00
2025/08/16

『あかり』

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タイトル:『あかり

著者:林木林

請求記号:Eハ

資料番号:611725138


図書館で働いていると数多の本が目の前を通り過ぎていきます。

その中でも「家に置いておきたい本」に出会えた時、数多くのアイドルの中からイチオシを見つけた時のような高揚感を感じることがあります。


今回はそんな「家に置いておきたい本」を紹介したいと思います。(図書館なので、まずは借りてみていただけると嬉しいです)


『あかり』という絵本で、詩人でもあり童話作家でもある林木林(はやしきりん)さんの作品です。


この絵本は、赤ちゃんの幸せを願ってお母さんが作ったひとつのろうそくのおはなしです。
生まれて、成長し、老いるまでのいのちをテーマにした絵本となっています。


幸せを感じる時、

家族が増えた時、

好きな人ができた時、

ケンカした時、

一人暮らしを始めた時、

不安な時、

孤独を感じる時、

ろうそくにあかりを灯す。


ろうそくは優しくそっと隣に寄り添ってくれているよう。

あかりを灯しては短くなっていくろうそく。


心の奥が静かにオレンジ色で包みこまれ、子供、大人問わず、心に残る絵本です。


林木林さんの著作には他に、

『こもれび』や『ひだまり』があります。

『二番目の悪者』も現代社会において考えさせられる名著です。


参考資料

タイトル:『こもれび

請求記号:Eハ

資料番号:612140074


タイトル:『ひだまり

請求記号:Eハ

資料番号:411346874 

資料番号:510710281 


タイトル:『二番目の悪者

請求記号:Y726.5ハ

資料番号:612444759



09:00
2025/08/11

火垂るの墓

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タイトル:『火垂るの墓
請求記号:D7AJ/ホ
資料コード:630006100
監督:高畑 勲
原作:野坂 昭如

 本当はこの映画あまりに悲しすぎて、嫌いです。

 最初に見たときは、涙が止まらず、ティッシュが山を築いていたほどでした。
もう紹介するまでもない有名な映画ですが、「昭和20年9月21日 ぼくは死んだ」という不思議な場面からスタートします。戦争末期の神戸三宮辺りが舞台です。
 「海軍さん」と呼ばれた軍艦乗りの父親を戦争でとられ、心臓の持病を抱える母親と少年と幼い妹の三人が暮らしている町が空襲にあい、母親を亡くし自宅も焼き出されてしまいます。その後頼った親戚には辛く当たられ、それならばと二人だけで生きることを選択します。
 二親そろっていても生きづらい戦中戦後の世の中、まだ幼い二人ではなんともすべなく、食べるものもなく栄養失調でやせ細り、ついには力尽き相次いで亡くなってしまうというものです。
 幼い妹が大事に大事になめていたドロップのあき缶に、少年が自分で火葬した妹の骨を納め、少年が力つきるまで持っていたことと、駅員さんが投げ捨てた缶の中から妹の白い小さな骨のかけらがこぼれ落ちるさまは胸がつまる思いです。
 タイトルの「ほたる」とは、映画でも沢山舞っている、はかない命の光をともす昆虫の蛍だとずっと思い込んでいましたが、空襲の時の焼夷弾が降り注ぐ状況で、火の粉の「火垂る」でもあるとその後知りました。

 唐突ですが、花火大会のニュースで、打ち上げ花火を真下から捉えた映像を見た時がありますがまさに火垂る状態で、戦争では殺傷能力があるこんな物が降り注いでくるかと思うと恐ろしいかぎりです。
戦争を経験された方が、花火大会はあの音と光が空襲当時を思い出させるので、嫌いだと話されていたことがありました。

 今回久しぶりに映画を見返してみると、涙にくれるより、あの兄妹がどうにか戦後を生き延びるすべはなかったか強い憤りを感じました。
高畑監督はこの作品は反戦映画ではないと述べておられたようですが、戦禍が弱い者に及ぼす惨劇を淡々と見せることは、とても大きな意味があると思います。
まだ地球上で戦火がたえない国や地域では、この映画の兄妹のような子どもたちがいて、今も増え続けていると思うと胸がしめつけられます。
 日本では戦後80年となりましたが、決して忘れてはならない映画です。


09:00
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