著者 沢野 ひとし
請求記号 914.6/サ
資料コート 510747183
沢野ひとしという作者を知ったのは、近著の「ジジイの昭和絵日記」を読んでからです。
ひどいタイトルだと思いながら読んでみると、読みやすいし、心にすっと収まる内容でした。なかなかいいねと思って、2冊目に手に取ったのがこの本です。
「ジジイの片づけ」は、誰か進言する人がいなかったのかと思わせる、相変わらずひどい(あくまで個人的感想)タイトルですが、終活を意識する年代には、くすっと笑えるし、うなずくところも多くあるエッセイです。
著者が描いているこの本のイラスト、見覚えありませか?というか結構あちこちで見かけます。
簡単に描いているようで、下手なようで何故かいいねと思わせてしまうのは、沢野氏のセンスと実力のなせる業です
エッセイのなか所々に国立・多摩・町田と、稲城市と近隣の地名が出てきて、沢野氏はこのあたりにお住まいだったようで、勝手に親近感がわきます。もしかして稲城の図書館に何くわぬ顔でふらっと立ち寄られているかもしれません。楽しみです。
「明窓(めいそう)浄机(じょうき)」を心掛け、朝起きたら窓を全開にして新鮮な空気を入れるとか。沢野氏は雨でもご家族の顰蹙(ひんしゅく)を買いながら全開にするそうですが、その後10分を片づけに費やし、机の雑巾がけまでするそうですばらしいですね。でも朝を清々しい気分で迎えたのに、片づけから入るのはもったいない気がします。なぜ前日に10分かけて片づけないのか不思議だったのですが、プロの仕事人の沢野氏は、まえの晩の仕事に全力を尽くされ、余力がない状態なのかもと好意的に解釈しておきます。
あまり物に執着しないという沢野氏が惹かれたものが、原稿用紙だとか。コクヨの原稿用紙で、作文を書いたことしかない身にとっては未知の世界です。私にとって高級品は伊東屋の原稿用紙ぐらいですが、そもそも値段的にも家計が傾くはずもなく、積み重なった重さで床が軋む程度でしょうか。そんなに色々あるものなのかと、検索してみると確かにありました。凝った原稿用紙でもお手頃な値段だけに、購買意欲をそそります。溜まりにたまったそれをただ廃棄するのではなく、必要とされている方に譲るため、まとめて船便で中国へ送り出し、スッキリ片づけを済まされたとか、喜ばしいかぎりです。まさに片づけの極意の実践です。
ジジイシリーズのご紹介
「ジジイの昭和絵日記」 資料コード211231932 510839632
「ジジイの文房具」 資料コード510817840
「ジジイの台所」 資料コード510787250