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2025/09/27

ロールモデルがいない君へ

Tweet ThisSend to Facebook | by 図書館管理者

*タイトル:ロールモデルがいない君へ

~6ヵ国育ちのナージャが聞くルーツが異なる12人の物語~

*著者:キリーロバ・ナージャ

*請求記号:Y361.5/

*資料コード:612435849

 

近年、ロールモデルという言葉を巷でよく耳にするようになりました。

ロールモデルとは、自分にとって具体的な行動や考え方の模範となる人物のことで、人は誰でも「あの人のようになりたい」というロールモデルを選んでいて、大なり小なりその影響を受けながら成長していくのだそうです。

本書は、ソ連(今のロシア)で生まれ、両親の転勤で日本、イギリス、フランス、アメリカ、カナダ各国の地元校で教育を受けた著者が、自身と似たような「周りの子や親とはルーツが違う中で育ってきた人」に話を聞き、今、日本で同じような状況にいる子どもたちや、そのような子の周りにいる人々へのメッセージをまとめたものです。

子どもの頃、あるいはティーンエイジャーの頃に、ロールモデルがいなかった12人のルーツが異なる仲間たちが、自らのライフストーリーをシェアすることで、次の世代にヒントとエールを贈りたいという想いから、この本は生まれたのです。

日本で生活していて、いわゆる「普通」に当てはまらない彼ら12人が、どのように思いどのように感じ、またどのように行動してどのように生きてきたのか。決して海の向こうの話ではなく、この日本で(もしかしたら、自分の極々身近で)少なからずこのような人生を実際に送ってきた人がいるのだと、非常に興味深く、また考えさせられる内容となっています。

読んでみて感じるのは、本書に登場する12人ほぼ全員が、成長していく過程において、自分は一体何者であるのか、自分のアイデンティティーに悩んでいた、ということです。

日本は、いわゆる単一民族国家(OECD/1の定義では、同一民族が95%以上を占める国を単一民族国家という)ということもあって、どうしても他人を肌の色や名前でカテゴライズしたがる、あるいはされる場合がいまだ少なくはなく、また自分と同じことに安心し、そうでないと判断するや排除しがちな傾向も相まって、そこが彼らを非常に苦しめていたことに気付かされます。

そして、まだ自分自身のアイデンティティーを持てていない頃から、周りの人に勝手に自分をカテゴライズされる経験を持つ彼らだからこそ、この日本でいうところの「当たり前」や「普通」に当てはまらない自分から、「自分は自分!」というアイデンティティーを見い出していくのは、ロールモデルが周りにいない彼らにとっては、とても孤独で困難で、そして大変な作業であったのではないかと思うのです。

 

本書を読むことで、海外にルーツを持ちながら日本で生活するマイノリティーの人、だけではなくて、そうではない圧倒的マジョリティーの人たちにとっても、今まで考えもしなかったことに気付くきっかけになるのではないかと思います。また、図書館ではヤングアダルト対象の資料ではありますが、自分が自分らしく生きるヒントや気づきがたくさん詰まった本でもあるので、そういった意味でも、世代に関係なく、より多くの方に読んでもらえたらと思います。

 

1/経済協力開発機構
09:00