近所に一本の道路を挟んで、右に保育園、左に介護施設が建っています。
道路は車2台が無理なくすれ違える幅なので約6メートル弱くらいでしょうか。
保育園の朝は早く、親御さんと一緒に着替えなど沢山の荷物を抱え、赤ちゃんから小学校入学前の年齢の子供たちが集まってきます。
夕方には、一日の仕事を終え迎えに来た親御さんにせかされながらも
子どもの顔を見てほっとしたような様子や、
まだ遊び足りなくてあちこちに引っかかる子どもに手を焼きながら
仲良く親子で家路につく姿を微笑ましく見ています。
かたや介護施設のグループホームはひっそりとしています。特にこの夏は朝から猛暑となり、
午前中のお散歩は取りやめにしている様子でした。
夕方のうだるような暑さではなおさら建物から出る気配もないようです。
パジャマやシーツなど大きな洗濯物が風ではためいているのを見るのみです。
唐突でしたが、この幅約6メートルの道路に人の一生が凝縮されているようで、
どきっとしたことがありました。
お世話してくれる人を必要とする両施設ですが、乳幼児として保育園で遊び成長し、
学校に入り卒業し、大人になり働き家庭を持ったりあるいは持たなかったりして、
やがて老人と呼ばれる年頃に落ち着き、介護施設でお世話になる方もいます。
この二つの施設の間で人生が完結するようではかなさを感じました。
体の節々に痛みが出始め、目もかすみがちで老眼になったわが身は、
だいぶ介護施設寄りにきていると認めざるを得ません。
道幅6メートルを右から左へ行く人生が、年齢を反映しただけのものなら話は簡単ですが、
何故そうエネルギッシュなのと感嘆する先輩も周りに多くいますし、
年下の者でも人生を受け入れいるような人も見かけます。
この秋我が家では家人が退職を決め、もう一歩介護施設寄りに進む局面を迎えようとしています。
残りの時間(距離)を満足して使い切るために、ない知恵をしぼってすることは沢山あるようです。