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中央・iプラザ 9:00-20:00
第一~第四 10:00-17:00
*7月21日~8月31日 
 火~土曜日:9:00-18:00
 日曜日:9:00-17:00
 

iブラリブログ

スタッフコラム
12345
2023/02/24

毛糸は暑いうちに編め!

Tweet ThisSend to Facebook | by 図書館管理者
突然ですが、私は何につけても凝り性の気質があります。

数年前、着用したままスマホが使える手袋を探すも
市販のものでは機能性やデザインに納得できるものが無く、
「無ければ作ればいいじゃない!」と思い立ちました。

「ハンドウォーマー」「指なし手袋」などの本を何冊も借りては読み、
探し当てた自分好みのデザインの作品を自らの手で編み上げるべく、
編み物が得意な友人に習って棒針編みにチャレンジしました。

当時コロナが流行する前でしたので友人と共に手芸店へ直接足を運び、
まずは輪針をはじめとした友人おすすめの編み物道具を買い揃えました。

次に毛糸。手芸店の壁や棚を埋め尽くす沢山の毛糸に圧倒されました。
大手メーカーの定番糸からニッチなブランドの高級毛糸まで
シリーズ各色ズラリとグラデーションに並んだ棚は壮観で、
新品の百科事典全巻が整然と並ぶ様に似た感動を覚えたものです。

本に載っていた指定糸は廃盤になってしまっていたため
素材や糸の太さが合う代替毛糸を見繕ってもらい、好きな色を購入。
早速その日から編み始めました。


 

綺麗さが気に入って選んだ編み込み模様は初心者には難しく、
糸の張り具合や編み目を揃えて模様を整える作業に四苦八苦しながら
最後はその友人の家で泊まり込み合宿をして何とか編み上げました。
その指なし手袋は毛玉だらけになりながら今でも愛用しています。

さて、この記事がなぜこのようなタイトルになったかと申しますと、
友人が「編んだものをその冬に身に着けたいと思ったら夏~秋のうちに
編んでおかないと完成が間に合わないから、夏頃から編み始めるのがよい」
と話していたのが記憶にあり、このフレーズと内容を思い立ちました。

現在、私の手元には数年単位で眠り続ける編みかけのマフラーが2本…。
多忙さを理由にして制作をサボって…もとい休止してしまっていたので、
今年こそはどちらかを完成させたいと思っております。

『裏も楽しい手編みのマフラー』掲載の両面アランのマフラー。


毛糸に合う編み図を自分で書き起こした赤い毛糸のマフラー。


さて、どちらに手を付けましょう?


[私が実際に使用した本はこちら]
・『裏も楽しい手編みのマフラー
嶋田俊之・著 文化出版局
(第四図書館所蔵 請求記号:594.3/シ)

[眺めるだけでも楽しめる、伝統文様が美しいオススメ本はこちら]
・『ラトビアの手編みミトン
  中田早苗・編 誠文堂新光社
(中央図書館所蔵 請求記号:D594.2/ナ)
・『スコットランドの伝統てぶくろ
  miro press・編 誠文堂新光社
(中央図書館所蔵 請求記号:D594.2/ミ)
05:30
2023/02/22

図書館と、自分の中に潜むタイムマシン

Tweet ThisSend to Facebook | by 図書館管理者
以前、こちらのコラムでも書いたのですが、応援していた方に
とある問題が起こり、もうバンドマンに恋なんて……とやさぐれ、
昔夢中になったものに再び触れるようになりました。

新たに好きになるより、あの頃好きだったものの方が信じられる!という
心持ちになったのでしょうか。年を重ねて、感動する心が薄れてきてしまった
ところもあるのかもしれません。その流れは現在でも続いており、
妙に過去好きだったものを掘り起こすくせがついてしまいました。

以前から自分の中に、ノスタルジアを好む傾向はありました。
とある深夜ラジオの番組でも、小学生時代を思い出させる語録を紹介する
コーナーが好きだったり。エッセイで、子どもの頃の感覚が
描かれているものに惹かれたり。

幼い時のエピソードが語られているものは、生まれた場所や時代、
性別が違っていても、どこかしら共感できるものがあり、興味深いです。

最近読んだ本では、益田ミリさんの『小さいわたし』が印象に残っています。
何気ないことでも、こうして本の形になっていると、
同じような体験をした自分の中にも、語られるような要素があるのだと、
安心出来るのでしょうか。あの頃の自分と今の自分は、
確かに繋がっているという実感が得られるのでしょうか。
埋もれていた「私」を再発見する感覚です。

そんなこんなで、せっせと、昔のドラマを見ては、
若い頃のアイドルはとりわけかっこいい(かわいい)と
感動したりする日々です。相変わらず、小さい時に読んだ本を
読み直したりして、自分はこういうものが好きだったんだ、
と再認識することも多いです。

特に今、心を奪われているのはF先生です。
イニシャルで伏せているわけではありません。藤子・F・不二雄先生です。

私の子供の頃は、F先生の作品がたくさんアニメ化されていました。
近頃、その漫画を読み返したり、アニメ作品を見返したりして、
素晴らしさを噛みしめています。ここでは、とても語りつくせません。
川崎にあるミュージアムは感動の嵐、興奮のるつぼです。

私が子どもの頃は、F先生の作品しかり、大体の子が
同じものを見ていたように思います。しかし、現代はツールも
いろいろあるので、思い出も多様化し、のちのちの共有も
難しいのではないでしょうか。

それでも、多くの子が必ず読むものがあります。
それは、教科書です。

国語の教科書に載っていた作品が読める本があることを、ご存知でしょうか。
中央図書館の児童コーナーにもあります。その名も『光村ライブラリー』。
小学校編は全部で18巻。低学年から高学年まで、
抜粋された作品が載っています。

時代によって掲載されている作品も変わり、なかには今の子が読むには、
説明が必要だろうなと思える描写もあります。
遊び方や家族での過ごし方にも、変化が見られます。

では、現代の教科書には、一体どんな作品が掲載されているのでしょう。
小学生のいない家庭では、なかなか教科書を目にする機会はないと思います。

が、図書館には教科書の所蔵があるのです。
地域資料のコーナーに、稲城市で使われている教科書が置かれています
(現在使われているものは、館内でのみ閲覧可能です)。
今の教科書には、なんとQRコードも記載されており、
音声や動画まで参考に見られるのです。

過去の分は、書庫に保管されているので、 職員スタッフに
声をかけていただければ、カウンターでお渡し出来ます。

記憶は蘇ります。忘れていたけれど、確かに自分はここを通ってきたと
思えるものが、そこにはあります。

少し不思議なひみつ道具がなくても、ちょこっとのタイムトラベル。
よろしければ、図書館でいかがでしょうか。

【資料紹介】
・『小さいわたし』益田ミリ 請求記号:914.6/マ  資料コード:612280235
・『光村ライブラリー・小学校編』1~18巻 請求記号:908/カ 資料コード:610273877他
05:30
2023/02/20

ランチの時間

Tweet ThisSend to Facebook | by 図書館管理者
普段、仕事や家のことに追われバタバタする毎日ですが、
私が日常のストレスを発散したり、子どものこと、学校のことなどを
情報交換する場として友人とのランチの時間がとても大切で
楽しい時間のひとつです。
 
都内には有名なレストランがたくさんあり、それも魅力的です。
しかし、私の住む稲城は決して都会ではありませんが、
それぞれに工夫を凝らしてとてもおいしいレストランがたくさんあります。

店名を出すことは控えますが、私のおすすめの稲城周辺のお店を
いくつかご紹介します。

<スープカレー>
初めて誘われたときは「え?カレー?あんまり惹かれないなぁ」と
思ったのですが、行ってみてびっくり。何種類ものスパイスが使われて
複雑で奥深いカレーなのです。
素揚げした野菜も素材の甘さが引き立ち定期的に行きたくなるお店です。

<カフェ風レストラン>
一軒家を改装したようなお店でとても居心地がよく、
つい話に花が咲いて帰宅時間を忘れてしまいそうになる程です。
一品一品とても丁寧で凝ったお料理で、自分で作ろうとすると
ちょっと手間がかかりそう、というものばかりです。
見た目も味も大満足できるお店です。

<ナポリタン>
主に地元野菜を使った濃厚な味で太麺のナポリタンです。
ほかにもハンバーグやお肉料理もありますが、
私はここのナポリタンが大好きで定期的にこの味を求めてお店にいったり、
テイクアウトしています。

<ガレット(フランス風お食事クレープ)>
住宅街の中にあり、ふらっと行って見つけるのは
なかなか難しい場所にあります。いわゆる定番のクリームや
フルーツが入った甘いクレープではなく、ハム、卵、チーズなどが入った
ナイフとフォークでいただくお食事クレープです。
デザートもクレープなのですが、しょっぱいのと甘いクレープを
楽しめるお店です。

<パスタ>
稲城からは少し距離があり、普段は車で行くお店です。
パスタといっても何十種類もあり、毎回選ぶのに
時間がかかってしまうほどです。だいたい調理する人はひとりだけで、
こんなに多くの種類のパスタを作れるものだといつも感心しています。
どれを食べても間違いないパスタ屋さんです。

そのほかにも稲城周辺にはおススメのお店がたくさんありますが、
次回(あるかはわかりませんが笑)までにまた新規開拓して、
おススメできるよう精進して参ります!

05:30
2023/02/18

暑さ寒さも彼岸まで、は本当か

Tweet ThisSend to Facebook | by 図書館管理者
この10年間で、毎年ひそかに調べている事がある。
『暑さ寒さも彼岸まで』の真偽である。

それは10年前に入院していた時のこと。
秋のお彼岸をはさむ形で1週間を病院で過ごしていた。
 
やれやれ無事に退院できたと喜ぶのも束の間、
外はすっかり秋の景色に変わっていた。

風は涼しくて心地よく、そんな風の掛け声に合わせてひらりと葉は落ち、
行き交う人々はお洒落な秋服とブーツ。
世界はすっかり変わっていた。

現実世界と交わるべく脳内を必死にアップデートしている私の恰好は、
入院前のままの夏満喫スタイル。
あまりの季節違いな恰好にとても恥ずかしかったことを覚えている。

付き添いの母が、「暑さ寒さも彼岸まで、とはよく言ったものね」と
ノースリーブの肩にそっとストールをかけてくれた。
秋へとアップデートを完了した脳内に、しっかりとその言葉は刻み込まれた。

だが、5年6年と年月が経ったころから「違和感」を感じ、
今や「ずれ」を感じるようになってきている。
10年前にショックを受けた程涼しくない…のだ。いやまだまだ暑い。
 
あれから10年という年月を重ね、あくまで個人の感覚と主観のみの
感想であることを協調し、ついでに共感してくださる同志を求めていることを
付け加えるが、『暑さ寒さも彼岸まで』はあと数十年の後には
「昔の話」になっていまうのではないだろうか。

実は確かなデーターを調べてみたこともある。
桜の開花もゆるりと早まっていたりと、たしかに日本の月間の平均気温は
行きつ戻りつしながらも上がってきているようだ。
 
もはや地球温暖化が日本の言い伝えを変えてしまう事は
間違いなさそうだと勝手に確信している2023年。

他にも「昔」になってしまうことわざや言い伝えはないか、
地道な研究は続けていこうと思っている。

タイトル:『ことわざから読み解く天気予報
著者:南 利幸
資料番号:61018702-6
請求記号:451.2ミ
05:30
2023/02/18

捨てられなかった物

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秋田で独り暮らしをしていた母に東京へ来てもらってから、
実家が空き家になり、今年になってようやく重い腰を上げて姉と
ふたり秋田へ帰省して家の中の物の片づけ作業をしました。

古い農家のそれなりに広さのある家屋で母が何一つ捨てていなかったので、
都合3回の帰省でクリーンセンターの大型トラック3台分を処分。
こういう時は一切の感傷を捨てて「これを残しておいたとして、
その先誰が使うのか」を判断基準にするしかありません。
食器、衣類、布団、机、本棚、タンス、一切合切思い切りよく
トラックに載せてもらいました。

それでもどうしても捨てられずに東京へ持ち帰った何点かのうちのひとつが、
母の机の抽斗から出てきた私が生まれた時の母子手帳です。

今の母子手帳と違い、出生時の体重と取り上げてくれた
お医者さんの記載以外何も書かれていませんでしたが、
「まさにこの日から私の人生が始まったんだ」という、
私だけの貴重な記録だと思うと、とても処分する気になれませんでした。

稲城市では「ブックスタート」事業として市内で生まれた赤ちゃんに
図書館が選んだ絵本の中から一冊をプレゼントしています。
新しい命の誕生をお祝いし、赤ちゃんと保護者の方が共にあたたかく
豊かな時間を過ごしてくれますようにという願いがこめられています。

保健センターで行われる3~4か月児健診で
健診が終わったばかりの親子さんに好きな絵本を選んでいただき、
母子手帳にスタンプを押します。

私も何年かブックスタートを担当させてもらいましたが、
スタンプを押すたびに赤ちゃんの健康と真っ白なページの先に広がる
無限の可能性を願わずにはいられませんでした。

六十何年かの人生の第一歩を記録した私の母子手帳は、
望まれて生まれてきてその誕生を祝福された大切な証として、
私が生きている間は大切にしようと思います。

05:30
2023/02/16

初めての星撮影の日。想像と違う?!

Tweet ThisSend to Facebook | by 図書館管理者
私の趣味は写真を撮ること。
特に最近は星の写真を撮っています。



満点の星。
きらきら輝く、美しい世界。

初めての撮影日。
星が見られるところへ行って、カメラを向ければこんな感じの写真が
簡単に撮れると単純に思っていました。

期待に胸を膨らませて…
撮影スポット近くの駐車場に停めて車から降りるとそこは真っ暗闇。あれ?!想像と違う。

星が綺麗に見えると言うことは、
月明かりの無い新月期を狙います。

イメージしている満点の星きらきらなロマンチックな雰囲気と
真っ暗闇な駐車場のギャップに戸惑いながら、
撮影スポットまで三脚と椅子を担いで向かいます。

もちろん、撮影スポットの道のりも真っ暗で鹿の鳴き声が聞こえてくることも。
車から離れるにつれ更に怖さが増します。

目的地に着くと満点の星。
これはすごいぞ!と思いつつも
星撮影は時間との戦いでもあるので
急いで撮影準備。

カメラを三脚にセットして、シャッターをきる。
ここからがとにかく長い夜の始まり。

長時間露光で撮って後で編集するため、
一枚の写真を作り上げるのに何枚もの写真が必要になります。
2、3時間調整しながらひたすら待ちます。

ある程度設定してカメラのシャッターを切ってしまえばあとは暇な時間。

そこで椅子の登場です!
家で沸かしたお湯を保温マグに入れて運び、インスタントコーヒーを作ります。
星を眺めながらのコーヒーは最高の贅沢〜!



初めは戸惑いだらけだった星撮影。
天気を調べて頑張って遠出しても突然の雨や薄曇、
霧で思うように見られないこともたくさんあります。

暗闇の恐怖と眠気でもう行くのが面倒だな…
と思うこともあるけれど。
綺麗な星を見ることが出来ると、
また行きたくなってしまうのです。次はどこへ行こうかな。
05:30
2022/09/26

趣味は“時短”?

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新しい趣味でも見つけたいな~とふと思った今日この頃。

特に意識はしていないけれど、ここ数年、
自分は“時短”にハマっているのでは?
“時短”が一番の趣味なのでは!?と気づいてしまいました。

“時短”。
とても奥深いですよね。
仕事の時短、家事の時短、オシャレの時短…あらゆる事柄で
“時短”が意識されている世の中なのかもしれません。

自分の生活を顧みても、休日に作り置きしたおかずを使って
爆速で朝ごはんを済ませ、本で読んだ“時短”テクニックで掃除&洗濯を行い、
“制服化”して選ぶ時間をゼロにした服を着て、
“時短メイク”で最低限の顔を作って出かける…という感じ。

もはや “時短”に取りつかれた人、という感じで自分でも笑ってしまいます。
 
“時短”の需要は高いのでしょうか、“時短”本もたくさん出ていますよね。
稲城市の図書館にも、“時短”の関連本がたくさんあります。

“時短”をタイトル検索すると60件ほど、
キーワード検索だと110件以上はヒットします。
こんなに本があるんだとしみじみ。

“時短”本を片っ端から読破したい気持ちになりますが、
ふと、“時短”を頑張って得た時間に、自分は何か
有意義なことをしているだろうか?とも考えてしまいます。

映画や動画を倍速で見たり、本や雑誌を速読みしたり…。
楽しい時間にも、“時短”をしてしまっている自分に気づき、
ちょっとびっくりです。
手段が目的になってしまっているのかも。

“じっくり”、“ゆっくり”、“のんびり”の良さも
思い出さなければと思いました。
バランスをとって、“時短”と逆の本も読んでみるといいのかもしれません。
素敵な本がたくさんありそうです!
 
とりあえず、せっかちな私の第一歩として、“時短に追われる”から、
“時短を楽しむ”人を目指したい!と決意する今日この頃でした。

【お気に入り“時短”本】 
・『食材たった10アイテムで献立コーディネート7days』 
著者:武蔵 裕子、出版社:主婦の友社
資料コード:211128332

・『毎朝3分で服を選べる人になる』
著者:大草 直子、出版社:光文社
資料コード:211137340

05:30
2022/09/24

花のように

Tweet ThisSend to Facebook | by 図書館管理者
「きれいですね〜!」

電車の中でなんだか視線を感じるなと思っていたら、飛んできた言葉だ。
私にではないことはわかっている。それぐらいわかっている。
その言葉が向けられたのは私の持っているお花にだった。

日本人であればチラッと見て、ああ、お墓参りに行くのね、と分かる
菊の花中心の花束だ。ここより少し南のアジアかポリネシアの方だろうか。
温かく優しい瞳がそれは嬉しそうにお花を見つめている。

そして
「同じですね〜!」
と自分の巾着袋を出して見せてくださる。確かに同じ色をしている。

外国語が苦手な人あるあるかもしれない。
相手の方が一所懸命日本語で話してくださっているのに、
頭に浮かんだ英単語をかき集めて私の口から出たのは、
「イエス!イエロー!カラー!」
だった。穴があったら入りたい。そして永久に出てきたくない。

 「黄色ですね。同じ色ですね。好きですか?」
とあわてて言い直した。ニコニコと頷いていらっしゃる。

水切りをして一晩おいた花はとても元気で、
清らかな空気のようなものを放っている。この人の好きな色の花で
良かったなと嬉しくなる。

お花はすごいなと思う。

いつもの一番安いサービス花束の中からじっくり選んだひとつを持ち、
集合住宅の郵便受けを見ていた。後ろを通り過ぎた方にご挨拶をして
少ししてエレベーター前に来ると扉が開いている。
その方が開けて待っていてくださったのだ。

コロナ禍のこの2年半エレベーターでの同乗を避けるため、
特にお年寄りの方はさっと昇っていかれるか、
一台見送ってでも一人で乗ろうと予防に気をつけて
いらっしゃる方が多いので、少しびっくりした。
でも、そうだった。少し前はこんな風に自分も待ったり、
待っていただいたりしたと懐かしく思い出した。

その方もじっとお花を見ていらっしゃる。
「夏ってこんなに暑かったかしらね。去年もこんなに暑かった?」
「本当ですね。今年は特別暑いですよね。」

一緒にため息をつく。それがなんだか嬉しい。
2つ違う階のその日初めて会った方だった。

お花はすごいなと思う。人と人とをつないでくれる。

これは今より感染状況が収まって少しホッとしていた頃の出来事だけれども、
どちらもお花を持っていなかったら言葉を交わすことはなかったと思う。

「百花春至為誰開」(この花はいったい誰のために咲いているのか)
という禅語がある。花は無心に咲いているからこそ尊いのだ、
ということを古今東西さまざまな方が書かれてるが、
今手元にある本も分かりやすい。

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「私たちは花を見たときに、『キレイだな〜』と感じます。
見ているだけで楽しい気分になります。

でも、花は『みんなにキレイと思われなきゃ』
『みんなに楽しんでもらうのに、私はへとへとだわ』などと思って
咲いているわけではありません。

ただ勝手に咲いているだけです。私たちはそれを見て、
とても楽しい気持ちになるのです。」(※)

-------------------------

こんな風に、花のように生きられたらいいなあ。

(※)タイトル:執着しないこと
   著者:アルボムッレ・スマナサーラ
   出版社:中経出版
   資料コード:611567478
   請求記号:184 /ス
05:30
2022/09/23

夏の思い出

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ミンミンゼミの鳴き声が聞こえると、母の実家を思い出します。

子どもの頃、毎年夏になると家族で帰省していました。
母の実家は新潟の山間にあります。
平地はほぼ田んぼ。その所々に集落があり、周りを緑の山が囲んでいました。

道路は真っすぐで信号がほとんどありません。
小学校や農協の建物が田んぼの真ん中に建っていました。
所々に防風林も立っています。

黄緑の稲と、防風林の緑、もっと深い緑の山、青い空と白い雲。
茶色っぽい家の壁と、冷めた赤っぽい色の屋根に、
青や茶色のかまぼこ形の倉庫。

そんな風景でした。

新潟の家には祖父母と伯父が住んでいました。
家の中も見慣れないものばかり。

黒電話と青い羽根の扇風機に、薄暗い仏間の立派な仏壇、上をみれば神棚。
黒電話で留守番をしていた東京の祖父母に電話したのを覚えています。

家の周りにある畑ではトマトやキュウリやナス、
トウモロコシなどを育てていました。
スイカを見せてもらったこともありました。

歩くと草の陰から黄緑色の小さなカエルが出てきてぴょんぴょん跳ねます。
黄緑のバッタや茶色のコオロギも突然飛び出します。
小さな蝶があちらこちらでひらひらと舞っていました。

音も東京とは違っていました。
用水路の水音、たまに通る車の音、イントネーションの違う言葉。

そしてミンミンゼミ。あちらはセミの鳴き声が大きいのです。
すぐそばの木からも、近くの山の方からも遠くの山の方からも
セミの鳴き声が聞こえました。

ミンミンゼミに限らず、アブラゼミ、ツクツクボウシ、ヒグラシなど、
いろいろなセミの鳴き声が混ざっていました。

風景は変わっていないと思いますが、祖父母は他界し、
伯父は施設に入り、家は数年前に取り壊したため、もうありません。

でも、ミンミンゼミの鳴き声を聞くと、
あの風景と新潟の祖父母の事を思い出します。

05:30
2022/08/20

ヘアドネーション

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かれこれ10年近く前のことになると思うが、
初めて「ヘアドネーション」という言葉を知った。

ヘアドネーションとは、小児がんや先天性の脱毛症、
不慮の事故などで頭髪を失った子どものために、
寄付された髪の毛でウィッグを作り無償で提供する活動のことである。

アメリカ発祥で、日本では2009年にJHD&C
(Japan Hair Donation&Charity,ジャーダック)が活動を開始した。

しばらくして突然「私もやってみよう!」と思い立ったものの、
その当時の私は毛先がギリギリ肩につくかつかないかくらい。
何故いけると思ったのか、当時の自分に問いたい。

ヘアドネーションをするためには
31cm(12インチ)以上という長さが必要になる。

15cmから受け付けている団体もあるが、
それは帽子に付けるタイプのもので、需要が高いフルウィッグは作れない。

「やるならフルウィッグを!!」と、なんとか3年以上かけて髪を伸ばし、
やっと31cmの長さが取れるくらいになった。

さて、次に問題となったのは、ヘアドネーションは
どこの美容院でもやってもらえるわけではないということである。
当時、私が通っていた美容院ではできないと言われてしまった。

自分でドネーションカットをして送るという方法もあるのだが、
前髪のカットもろくに成功したことがない自分に
それは無理だろうと早々に諦めた。

インターネットで提携美容院を探したり、
先にヘアドネーションをした友人に聞いたりしながら、
納得いく美容院にたどり着き、無事に髪の毛を寄付することができた。

30代最後の社会貢献として、自分の髪も
誰かの役に立つかもしれないと思うと、帰り道は頭も心も軽やかだった。

髪をバッサリ切った私を見て驚いていたが、
ヘアドネーションの話をすると「私もやってみる!」と、
続いて挑戦する友人も現れた。

今では女優さんや有名人が発信したことにより、
ヘアドネーションはずいぶん認知されたなあと思う。
長い髪を切った時にヘアドネーションしていないと、
SNSで叩かれることがあるほどだというから驚きである。

「ヘアドネーションなんて偽善だ。」「ただの自己満足でしょ。」
「意味がない。」と言う人もいる。そんな人も一度JHD&Cのホームページや
活動報告をご覧いただきたい。

代表の方は、いろんな髪型が個性として認められるように、
髪がないことも個性の一つとして普通に受け入れられる社会になることを
目指しているという。

偽善だって良い。自己満足だって良い。
だって、残念ながらまだそんな成熟した社会にはなっていないのだから。

好奇や同情の目から自分を守るために
ウィッグを必要としている子どもがいる。

髪の毛がない自分を見ると親が悲しむから、
という理由でウィッグを望む子どもがいる。

ただ「髪を結ぶ」ということを経験してみたい子どもがいる。

「ヘアドネーション」という言葉を知ったあの日、
自分の頭に合わせて作られたフルウィッグを被って
とても良い笑顔になったテレビの中の少女。あの姿は今も忘れない。

笑顔になれる子がいるのならばと、私はまた髪を伸ばす。

次は、希望している子はたくさんいるけれども
寄付が少ないというロングヘア用(40cm以上)を目指して頑張ろう。

◆参考資料
タイトル:『髪がつなぐ物語』
著者:別司 芳子
請求記号:916/ベ
資料コード:612020129 など
(市内の図書館全館で所蔵しています)
05:30
12345