監 督 :ウケ・ホーヘンダイク
請求記号 :D7BK/ミ
資料コード: 630217051
アムステルダム国立美術館は、レンブラントの『夜警』やフェルメールの『牛乳を注ぐ女』など、数々の傑作を所蔵するオランダ最大規模の美術館です。
ところが現在の美術館が再オープンするまでには、実に10年という長い歳月がかかりました。この作品はその10年をおったドキュメンタリー映画です。
では、なぜオランダ最大の国立美術館が、10年もの間、閉鎖されることとなったのでしょうか。
その理由は、オランダ人の生活スタイルと、美術館の構造にありました。
オランダは、世界一の自転車保有国であり、自転車は人々の生活に欠かせない存在です。
旧アムステルダム国立美術館の建物には中央を公道が通っており、そこを多くの自転車や歩行者が毎日行き交っていました。
ところが、新しい美術館の設計では、この公道が自転車で通りにくくなってしまうことが判明し、市民たちは「なぜ長年親しまれてきた道をなくすのか」と猛反発。強い抗議の声をあげました。
その結果、改修工事は一時中断を余儀なくされ、美術館と市民との対立は、やがて美術館と建築家・内装家との衝突にも発展します。
さらに、度重なる計画変更と工期の延長により、美術館の関係者も疲弊し、ついには館長が「人生すべてが美術館というわけではない」と言い残し、辞任してしまいます。
視聴者としては、最終的にはすべてがうまくいき再オープンの日を迎えるということがわかっていても、その道のりには思わずハラハラさせられました。
一つの作品を展示するために、作品の配置、展示場所、展示ケースにまでこだわり、作品と館内との調和を徹底的に追及する姿勢、また、壁の微妙な色合いにも一切の妥協を許さず建築家や内装家と納得のいくまで議論を重ねる美術館スタッフの姿には、並々ならぬプロ意識を感じました。
このような気の遠くなるような紆余曲折を経て、美術館はついにグランドオープンの日を迎えます。
この改修に携わった多くの人々の想いと情熱によって新たな歴史を刻み始めたアムステルダム国立美術館。
オランダ旅行を計画している方がいらしたら、この作品を観てから美術館を訪れることをおすすめします。より感慨深く、美術館を楽しめるのではないでしょうか。