去年から3月上旬になると、奄美大島に行きます。ホエールスイムでザトウクジラを見るためです。今年は2回目。無事に見ることができました。
3月の海はまだ寒く、水面でブルブル震えながら、クジラがいるはずの海の底に目を凝らします。息を吸うために上がってきたクジラの姿がはっきり見えるその瞬間、寒かったことなんて忘れて、「今年もいろいろな事があるだろうけど、大丈夫。だってクジラ見たし。」と思います。たぶんその「大丈夫」が欲しくて見に行っているのでしょう。
ザトウクジラは12月~3月にかけて子育てをするために、日本の暖かい海に滞在します。3月は親子が見られるベストシーズンです。
奄美の海ではじめて見たクジラの個体はまだ赤ちゃんで、それを知らなかった私は「やっぱり大きいですね」とニコニコで周りの人たちに話かけたら、「あれはまだ赤ちゃんね。下にお母さんがいるよ。」と指さした方へ視線を落とすと、今見ていた赤ちゃんクジラの何倍も大きなお母さんクジラが下から上がってきた衝撃は未だに忘れられません。たぶんちょっと叫びました。
写真でしか見たことがなかったクジラが今、目の前にいる。体中についたフジツボが光に反射してどこか発光しているように見えて、泳ぎは優雅で美しく、尾びれを少し動かしただけで、瞬く間に見えなくなっていく。一回でもジャンプをすれば、人間の身体なんて押し戻されてしまうあの波の衝撃。どんなにたくさんの本を読んだって、実際に行って自分の体で体験することにはかなわないと実感したできごとでした。
奄美大島は周りの自然も豊か。樹齢400年のガジュマルの木があり、江戸時代からそこにいるのかと思うと、その生命力と幸運に驚きます。ジャングルみたいにうっそうと茂る山には大量のハブが潜んでいますが、ナイトツアーで小さい耳が可愛らしいアマミノクロウサギに出会えるらしいので、次の機会には参加してみたいなと考えています。そして、お刺身や島豆腐、鶏飯にシュークリーム……どれも「ちゃんとおいしい」と思えるご飯も、何度でも行きたい理由の一つ。花より団子みたいな話しでまとまってしまいそうなのですが、機会があれば、これを読まれた皆さんもぜひ一度は足を運んでみてください。