3月3日、図書館へ向かう道すがら
今年最初のつくしを見つけた。
3月5日、遅番で出勤した私に
城山公園のうぐいすが、まだおぼつかない
「ほーほけきょ」を聞かせてくれた。
桜の花を引き合いに出すまでもなく、
春ほど、時の移り変わりに
心動かされる季節もない。
「山里は春のほだしに閉じられて
住処まどへる鶯ぞ啼く」
昔の人なら一首詠んだであろう春の気配の中で
「ほだし」という言葉を思う。
ほだしとは、物をつなぎとめるもの、
自由を妨げるものという意味で
「春ほだし」といえば霞のこと。
昔の人は、霞立つ空気が
めぐってきた新しい季節を閉じ込めることによって、
里に春が根付くと考えたのだろうか。
ほだしは、漢字で「絆」と書く。
「春ほだし」という言葉は
「絆」に、もともと「自由を妨げるもの」という意味があることの
その重さを、いつも私に思い出させてくれる。
折しも、出会いと別れが繰り返される、この季節に。
それにしても
前出の一首の詠み人を忘れてしまった。
インターネットで検索すれば
きっとすぐにわかることだけれど、
明日にでも、図書館で調べてみよう。
季節の移り変わりを
より身近に感じさせてくれる
そんな「言葉」との、偶然の出会いを期待して。