暑い夏もあとわずか、ようやく秋の足音が聞こえてきました。
せみの鳴き声が虫の声になり、朝夕の気配が秋めいて来ると、
なんとなく暑さがなつかしくなったりします。
先日、小河内ダムで貯水量が少なくなったので、
人口降雨装置を使って雨を降らせた、というニュースを聞いて、
昔観た映画、宮沢賢治の『グスコーブドリの伝記』を思い出しました。
昨年2012年にも公開されましたが、私が観たのは1994年の映画です。
主人公の青年は気象庁のような観測所に勤めていて、
火山を爆発させれば天候が回復するけど、その爆破を実行するには、
ひとり犠牲にならなければならない、というようなストーリーだったと思います。
原作に登場するのは、冷夏で苦しむ農民のために、
火山を爆発させて気温を上げようとして考えた装置ですが、
映画では若干原作と異なる部分があったような気がします。
実際の人工降雨装置はなにかの熱したガスを大気中に放出し、
上空を暖めることで雨を降らせるというもので、
ほんのわずかの雨を降らせることができたとか…。
もちろんグスコーブドリの物語は宮沢賢治の創作ですが、
ニュースで人工降雨装置の写真を見た時、まず浮かんだのがあの映画でした。
もしかしたら、数百年後には、人が自然をあやつるような時代が来るのかもしれません。
自然災害を未然に防いだり、必要な時に雨を降らせたり…。
もうすぐ秋がやってきます。
ゆっくり宮沢賢治のイーハトーブの世界を味わってみませんか。
参考文献『グスコーブドリの伝記』宮沢賢治