100年前から現在まで、全世界にむけてアンケートをとれたら面白いだろうな、と
思っていることがあります。
それは「ジーン・ウェブスターの『あしながおじさん』を読んで、ジュデイの最後の手紙を読むまで
「あしながおじさん」が誰だったかわからなかった人は手を挙げて!」というものです。
私は中学生のときに初めて読んで、衝撃を受けた一人です。
(一人だけだったら、どうしましょう)
ギリシャ彫刻のように整った顔立ちの作者の写真を見ながら、
心から尊敬の念がわいたことを覚えています。
アンケートの分析をしたら、
「1920年代の人はかなり早い段階で分かっていたようだ」とか、
「若者のほとんどは最後まで分からない傾向にある」とか、
「日本人はこの時点で気づくことが多い」とか、
「明らかに男女差がある」とか、面白い結果がでるのでしょうか。
それともほとんどの人が私と同じように、最後まで作者の手のひらの上にいるのでしょうか。
同じように、バロネス・オルツィの『紅はこべ』を読んだときも、「紅はこべ」の正体が分からず、
やきもきしながら読み進み、最後にびっくり!
これは小学生のときです。
こんな読者を作者はどう思うのでしょうか?
「してやったり!」とにんまり微笑むのか、
「たくさんヒントをちりばめておいたのですがね・・」と情けない顔をされるのか。
読んでいるときの自分は、主人公と一緒になって本の中で喜びや哀しみやスリルを
味わっているので、推理することなど全く頭にないまま結末をむかえ、
快い衝撃を味わってこちらの世界に帰ってきます。
結末を知って安心しながら、もう一度読み返し「ああ、ここにも!あそこにも!」と
かの人への手がかりを探すのも楽しいですが、読む前の自分に戻ってみたいものだと
思うこともあります。
戻ることができないから、次の一冊、また一冊と新しい本に手がのびるのかもしれません。