| 2015/12/01 | スタッフのおすすめ本!(2015年12月) | | by 図書館スタッフ |
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書名:さよならの手口
著者:若竹七海
出版社:文藝春秋社(文春文庫)
請求記号:913.6/ワ
わたし」こと葉村晶。女性。40歳少し過ぎ。家族とは10年以上没交渉。
趣味なし。友人、ほとんどなし。ペットなし。男とも、縁、なし。
職業、ミステリ専門書店のアルバイト。そして、元・探偵(現在は休業)。
待望の(個人的に)、葉村晶シリーズ最新作です!
子どもの頃シャーロック・ホームズや怪人二十面相を愛読していたので、
探偵というのは当然名探偵で、難事件を鮮やかに推理・解決し、
警察に感謝されちゃったりするのだとずっと思っていました。
現実に名探偵なんぞ生息しているはずもなく、実際の探偵とは
いわゆる興信所などの調査員のことだと知って、がっかりしたのは
結構なおとなになってからです。
かつては葉村晶も、縁談相手の素行調査といった地味な仕事を地道にこなす調査員でした。
しかし。調査の腕前はかなりのもので、有能なのにどういうわけだか不運続き。
単なる調査員のはずが、しょっちゅう犯罪がらみの案件に巻き込まれる。災厄に見舞われる。
今回だって、本屋の仕事で、古本の出物探しを兼ねて遺品整理の手伝いに行った先の
ボロ家で、なぜか押入れの床を踏み抜いて落っこちてしまい、床下に埋もれていた
白骨死体に頭を強打して救急搬送されたのを皮切りに、不幸が列をなしてやって来ました。
探偵休業中だって言ってるのに無理やり調査を依頼され、仕方なく引き受ければ、
その過程で怪我やら何やら病院に担ぎこまれること三度。
性格の悪い警部に目をつけられて脅され、警察に協力するよう強要される、
大家に誤解されて住処を追い出されかける、etc、etc……。
けれど葉村はメゲない。次々と襲いかかる不運の合間を縫って、
あくまで謎を追いかけます。
やはり葉村は「調査員」よりも「探偵」と呼ぶ方が似合います。
タフでへこたれず、ブレない。誠実で、納得できないことがあれば
どこまでも食い下がっていく。なかなかにハードボイルドでカッコいいのです。
自分もこんな風にカッコ良く毅然と生きてみたいものだ、という気になりますが(不運はヤだけど)、
「わたし」という一人称で語られているせいか同調しやすく、
読んでいる間はなりきれちゃう、というところもこの作品の魅力です。
この私だって、こう見えてハードボイルドなんですのよっ!……なんつって。
葉村晶シリーズは、シリーズものではありますが、長編はこの『さよならの手口』が2作目。
前作『悪いうさぎ』から実に13年ぶりの再登場でした。次作が切に待たれます。
葉村よ、次はこんなに待たせないでおくれ。
書名:ぐつぐつ、お鍋
著者:阿川佐和子 ほか
出版社:河出書房新社
請求記号:914.6/ア
寒くなってきました。
みなさま、体調はいかがでしょうか。
寒い時期はやはりお鍋でしょう。
お鍋から湯気が上り、ぐつぐつ煮える音と温かい香りがしてくると、
もうたまりません。
蓋を取ると、白菜、きのこ類、にんじん、芹や水菜、
ネギ、豆腐、お肉類、鱈や鮭、春雨や油揚げたちが、
湯気の中から、さぁ食べ頃だよと言っているのが聞こえ、
生きてて良かった!と、思わず手を合わせてしまいます。
この本は、お鍋にまつわる話37篇がぎゅっと詰まっています。
寄せ鍋、湯豆腐、ふぐ、すき焼き、ちゃんこ、おでん、など
たくさんのお鍋が登場します。
食通作家のオリジナルのレシピもあり、なかなか参考になります。
中でも、すき焼きー父と二人だけの鍋、寄せ鍋嫌い、は心に染みました。
食べ物の思い出は、永遠に心に刻まれるのでしょう。
「小鍋だて」という小鍋で煮ながら一人で食べる鍋では、
「鍋に入れる材料は二品か、せめて三品、水の割合は・・」
という作家のこだわりがあり、粋だなぁと感心しきりです。
現代の鍋事情はよくなってきて、一人鍋用にポンっと入れる出汁が出回っており、
お一人様の鍋もかなり流行っているのではないでしょうか。
さまざまなお鍋がありますので、存分に心を温めてください。
そして、お一人でもご家族でも、忘年会でも好きな人とでも、
お好きなお鍋で温まってください。