そういえばこの頃夢を見ない、と思った。
本当に見ていないのか、見ていても記憶に残っていないだけなのかは定かでない。
特に夢判断だの精神分析に興味があるのでも、やってみたいわけでもないのだが、
何の脈絡もなく、突然そんなことが頭に浮かんだ。
小さい頃、同じ夢をよく見た。
そしてそのうちに、夢の中で「またこれだ」と思っているのに気がつくようになった。
始まりはその都度違っているようなのだが、結果的にはいつも同じ状況になる。
それはあまり心地よいというものではなかったので、
夢から解放されたいという思いが強くなったのだろうか。
ある場面になると、「これは夢なんだから目を開ければ終わりになる」
という指令を自ら発するようになった。
これが効いたのか、このパターンの夢を見る回数は、確かに少なくなっていったように思う。
でも、単に年齢が進んだ、ということなのかもしれない。
これも小さかった頃、亡くなった祖母からも「同じ夢を見る」という話を何度も聞いた。
幼い私を連れて出かけていると必ず途中でいなくなり、名前を呼びながら探し回るというものだ。
虚弱児だったため、それでなくても面倒をかけていたのに、
夢でまで苦労をかけていたのかと、今にして申し訳ない気持ちになっている。
そして、その頃の祖母は現在の私とさほど年齢が違わなかった、
いや、もしかしたら若かったのではと思い当たり、ちょっと眩暈を感じてしまった。
(n.u)