今回も季節の花のお話をしたいと思います。
寒い季節ももうすぐ終わり、いよいよ待ちかねていた桜の季節ですね。
日本の桜は600品種以上、1月の沖縄の寒緋桜に始まり、
8月の暑い季節を除けば1年中日本のどこかで桜が咲いているそうです。
私にはここ数年咲くのを心待ちにしている桜があります。それは星桜です。
星桜は多摩の南大沢周辺に自生している桜で、ガクが星型をしていることから、
この名が付いたそうです。
ソメイヨシノほど花数は多くなく、花の大きさも小さく地味目な桜。
形は開ききらない抱え咲き、薄いピンクの愛らしい花で、その名の由来のガクも赤く美しい。
いかにも野生という清楚な風情をしていて、私は大好きです。
花時期はソメイヨシノより早く、咲いている期間も短いので気を付けていないと見損なってしまいます。
多摩丘陵に咲く正体不明のヤブ桜の仲間とされていた自生の桜が、
染色体の解析により新種と分かったのが1992年、それが星桜です。
星桜は多摩の南大沢辺りのごく限られた所に見られ、その数は約100本、
2007年には絶滅危惧種1Aに指定されている、珍しく、貴重な桜です。
豆桜と江戸彼岸の交雑種というが、それが出来たのが1万年も前というから壮大な話ですね。
種は出来ずに根から芽を出して増えていくそうです。
それが限られた地域にしか見られなく、数が少ない理由と思われます。
多摩センターの大塚公園の星桜は大きく、根元の周辺の土の中から気根のような芽が
たくさん出ているのを見たことがあります。
近年公園などに新たに植えられている星桜は、この芽を挿して育てているようです。
現在、星桜の見られる場所は、大平公園、南大沢団地、清水入り緑地、首都大キャンパス、小山内裏公園、大塚公園、長池公園、片所谷戸(かたそやと)などで、
どこも稲城から近いので、是非この珍しい桜を見て欲しいと思います。
咲くのはもうすぐ、去年は3月22日に長池公園に行った時が見ごろでした。
今年は是非、48株の星桜の群落があるという、片所谷戸に行きたいと思っています。
尚、星桜と同じ環境にヤブ桜は咲き、この花も多摩に多く見られ、
とてもきれいな花なので是非探して欲しいです。
ヤブ桜は花が開ききる平咲き、ガク頭は緑がかっていて星桜との見分けは難しくありません。
春の一日、星桜、ヤブ桜、丁子桜、豆桜…と探しながら歩くのはとても楽しいことです。
長池公園側の赤い桜の"陽光"の並木は星桜と同じ時期に咲くので、一緒に楽しめます。
星桜の学名はPrunus tama-clivorum Oohara.Seriz.&Wakab.で最初の部分が多摩の住民で後半は発見者の名前です。
星桜は"多摩の住民"私達の仲間とも言えます。
尚最近は先に同名の園芸品種があった為"多摩の星桜"が正式名称になったそうです。
この貴重な桜が開発などで減ることが無いよう、見守っていきたいものと思います。