みなさんは、おすすめ機能がついた自動販売機をご存じでしょうか?
最近、よく駅で見かけるようになった、
大きな液晶画面に商品が映し出されている、あの自動販売機です。
液晶画面の前に立つと、その人へのおすすめ商品を教えてくれるというもので
設置され始めたばかりの頃、とある知人が、
「あの自動販売機、私にはお茶と水しかすすめてくれないんだよ。
私の前の女子高生には、いろんな種類すすめてたのに。」
と嘆いていたことがありました。
そんなことはあるまい。なにをヒガンでいるのやら…。
その時は、一笑に付した私ですが、
実際にその自動販売機の前を通ると、やはり気になってきます。
「このデカイ箱は、私に何をすすめてくるんだろう?」
毎日、駅で見かけている自動販売機の前を素通りすることができなくなり、
気づけば私も、あの液晶パネルと対峙していました。
かくして数秒後、画面に「あなたへのおすすめ!」と表示されたのものは…。
「お茶」と「水」でした。
…むぅ。
こうなると、自動販売機の前を通る度、試さずにはいられません。
1週間…2週間…仕事帰りに、今日はどーだ!?と立ち止まるのですが、
表示される「おすすめ!」の吹き出し表示は、いつまでたっても「お茶」と「水」をいったりきたり。
そのうちに、「違うものをすすめてくれたら、それを買うから!」という気持ちになってくるのですが、
それでもやはり「お茶」と「水」。
これは、もう、「お茶」と「水」しかバージョンがない機種に違いない。
でないとするならば、私の帰る時間帯と おすすめ機能のランダム表示が、
ヘンな具合にリンクしてしまっているに違いない。
という気持ちになってきた頃、やっと調べてみる気になりました。
いったい、この自動販売機は、何を判断材料に「おすすめ!」を選んでいるのか?を。
そして、どうやら自動販売機上部に設置された「属性判定用センサー」というものが
購入者の骨格、目、口、鼻などの特徴から年齢・性別を判断し、
時間帯や気温などを加味して、おすすめを選択しているとのこと。
さらに、「購入時に顔を上げないままの人は正確に判定できない」可能性があることをつかみました。
「そうか、今までの私は1カ月も試し続けていたにも関わらず、
どこか照れがあって、そしらぬ顔でふふふん。とばかり購入していたから、
正確に判定してもらえてなかったんだ。」
そう思った私は、次のチャンスがやってきたとき、
まずはセンサーの位置を確認し、しっかとそちらに顔を向け、判定を待ちました。
そうしたら、ついに出たのです!違うおすすめが!!
待ちにまった、違う「おすすめ!」 それは、「水」と………「栄養ドリンク」でした!!
えー。 「栄養ドリンク」!?
かろうじて、女性向けの商品であったことが救いではありますが…。
きちんとセンサーに情報を読み取ってもらった結果、
私の顔は、「栄養ドリンク型骨格」と判明しました。
しかも片方は、いまだに「水」だし…。
実はその自動販売機で、私は1本の飲料も購入していません。
だって、ずっと納得できなかったんですもん。
でもこんなに遊ばせてもらったので、今度1本ぐらい購入しようと思っています。
それにしても、自動販売機1つとっても、面白い機能が考えられていますね。
蓄積されたデータを活用し、柔軟な発想で開発された商品は、
いままでの機能に、ちょっとした遊びの要素が取り入れられたりして、
日々の暮らしを楽しくしてくれます。
街中で目新しい機能を備えた機器を見かけたら、
その開発の裏側を調べてみるのも、面白いかもしれません。