某ガス会社が「男だけの厨房」と題して月一度開く料理教室に夫が通い始めて1年が経つ。
以前から昼の食事くらいはと作ってくれていたが、
「ラーメン」「焼きそば」「うどん」がせいぜいだった。
新しくガスコンロを買い換えたことがきっかけで
様々な機能を生かした調理法にまで興味が広がったらしい。
何事も形が大切と早速夫用のエプロンを調達した。
はかりや軽量スプーン、多層式の鍋も新しいものを買い揃えた。
厨房への受入態勢は万全だ。これで後には引けないだろう・・・
初めて教室に出かけた夕方、大きな包みを抱えて帰ってきた。
家にどんな食材があるのかわからず、一通り全部買ってきたという。
夕食は麻婆豆腐とサラダだぞ、とヤル気満々だ。
とりあえずサラダから取り掛かる。ピーラーを使っても上手く皮がむけない。
思わず手を出そうとすると「あっちへいっといて、自分で全部やってみたい」という。
まるで幼稚園児と母の会話みたいだ。待つこと2時間半。
部屋中においしい匂いがただよってきた。
「どれどれ・・・わぁ、おいしい!」
「お父さんやるじゃん!」
「お母さんが作るより味がしっかりしている!」
家族から思わず賞賛の声が上がる。ところが本人は調理を終え、
ほっとするとともに疲れが出たのだろう、椅子に寄りかかりぐったりしている。
以来、週末は主に夫が料理を作るようになった。
「豆サラダ」「ステーキ丼」「焼き豚チャーハン」「オムレツ」、
今ではすっかり我が家の定番料理だ。
先日は3連休のすべての食事を作るという快挙も成し遂げた。
おっと、そうこうする内に夕飯ができたらしい。
本日のメニューは「秋刀魚の蒲焼」と「きのこ汁」。
それでは、ちょっと失礼して 「いっただきま~す!」