| 2015/03/04 | スタッフのおすすめ本!(2015年3月) | | by 図書館スタッフ |
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書名:青が散る
著者:宮本 輝
出版社:文藝春秋
請求記号:V913.6 /ミ
1982年の宮本輝さんの小説です。
…と書くとずいぶん昔の作品ような気がしますが、
新設大学のテニス部を舞台にした青春小説で、
その瑞々しい人物描写は時代にかかわらず光っています。
私は大学時代に演劇研究会の先輩からこの本をすすめられました。
宮本輝さんの本を読むのがはじめてだったこともあり、
その面白さと、人物の魅力にぐんぐんひきこまれたすえ、
その先輩のすすめる本はとりあえず読もうと決めたほどでした。
主人公が一目ぼれする奔放な女の子、
テニス部を創設し、なかば強引に主人公をひきいれるキャプテン、
だんだんと集まってくるテニス仲間たち、
夢を追うミュージシャン。
登場する人物は皆、若さゆえに悩み、深く傷つきながら
それでもその若さを謳歌しているように感じます。
彼らの生き方の模索と重なるように
テニスの戦術についても試行錯誤が描かれます。
試合の描写は一球一球、息をのむリアルさで
テニスをされている方はもちろん、
あまりよくわからない方でもはいりこめる熱さになっています。
学生時代という限られた時間の中でしか経験できない
どうしようもない気持ち、強い相手との勝負、
その中からなんとか見つけていく自分の生き方、
主人公の「王道」を行こうとする潔さがなんとも爽快で、
自身を振り返らずにはいられません。
錦織圭さんの活躍でテニスの試合を観るチャンスも増えてきました。
ぜひ手にとってみてください。
何度読み返しても、新鮮な感動がある作品です。
書名:今日もごちそうさまでした
著者:角田光代
出版社:アスペクト
請求記号:596.2/カ
子供の頃、食事の後、関西に住んでいた祖母に「ごちそうさま」と言うと、
「よろしゅうおあがり」と返してくれたのを今でも憶えています。
食事の後なのに「おあがり」というのが不思議だったからでしょうか。
今では懐かしい祖母との思い出の言葉です。
「今日もごちそうさまでした」は2008年1月から2011年7月まで
インターネットで連載されていたものをまとめたエッセイです。
一話に一つの食材をテーマに、どんな思い入れや思い出があるか、
隣で話を聞くように読めます。
筍は、春は皮つきのものを買って自分で煮た方が
水煮で売っているものよりも断然美味しいと
わかっているけれど水煮を選んでしまう理由や、
アボカドを買うのに勇気が必要な理由などは、
そうそう、そうなのよと思わず握手したくなります。
角田さんは大変な偏食だったのを、30歳を過ぎて「食革命」が起きて
嫌いなもの(主に野菜)を無くそうといろいろな食材に挑戦したそうです。
食べられるようになったものを「今まで食べなかった事を著しく後悔したもの」から
「食べられるけどやっぱり苦手なもの」までの5段階にランクづけしているそうです。
この食材はどのランクなのか、想像しながら読んでみるのも楽しいかもしれません。