図書館までの通勤に電車を利用しています。
沢山の人たちを見て、私も沢山の人たちに見られています。
電車待ちのほんの僅かな時間に、ほんの僅かにお話を交わした人もいます。
車内で見かけた方もいます。
その方は喪服を着られていました。背筋をピンとされ、立川行きの電車を待っていました。
昨日からの小雨が降り続く中、見慣れた構内で何を見るでもなくボッと立っていたら、
その方から声がしました。
「戦友の葬式に行くんです。」
「はい?」(戦争って66年前に終わった太平洋戦争だよね?)
「予科練の仲間でした。」
思わずその方の年を計算してしまう、オバさんのさが。
終戦時20歳前後として今年御年86歳前後。とてもかくしゃくとしてお若く見えました。
お近くの方ではないらしく、遠くからいらして葬儀場に向かうべく、
乗り慣れない電車でより心細かったのかも知れません。
誰かに聞いて欲しいというよりは、無害の人間を相手に独り言のように話されていました。
今やっている朝のドラマで、主人公のお兄さんも予科練に行く話がありました。
純粋な若者たちが、国のため、家族を守るためと言って戦場に赴く場面にホロリとしたのは、
ついこの間のことです。
あの頃の青年が、戦中・戦後を何とか生き抜いて年を重ねてこられたらと、
当時の若者がこの方とダブります。
「戦争では死ななかったのに・・・」
残念そうにおっしゃっていました。私はただうなずくしかできませんでした。
ベビーカーを押したママさん軍団に遭遇することもあります。
軍団といっても僅か3台ぐらいのものですが、最新式の三輪車タイプのグループ。
結構幅を取って存在感ありです。
いつものお出かけでもきれいに着飾り、ピンヒールを履きお化粧もばっちりのママさんたち。
でも今日はやけにテンション高めでおしゃべりに夢中。
ママたちのうきうきが伝わり御機嫌の赤ちゃんと、ストレスの多い子育てに頑張っている
彼女たちに免じ、賑やかな車両から次の車両へ私が移動。
今日のランチゆっくりできるといいですね。
外が暗くなる頃には、車中でおつまみのピーナッツをほお張り、缶ビールを飲む
ほろ酔い加減のおじさんにも出会います。降りるまで我慢できなかったのですね。
きつい仕事が終わってグウィと一杯の至福のひと時、下戸の私でもお気持ちわかります。
でも車掌さんが回ってくるとまずいですよ。早めに切り上げてね。
黒いリクルートスーツ姿の若者たちにも沢山会います。
日に焼けた顔のがっちりした身体で、スーツはいかにも窮屈そうですが、
今日の面接がうまくいくこと秘かに祈っています。
彼の「最終面接まで行っても落とされれば、一番初めのエントリーシートで×と結局同じだ」の
ぼやき、我が家でも嫌というほど聞きました。
でも家族は全員あなたの応援団です。きっとご縁のある職場がみつかります。
あきらめないでとエールを送り電車を降ります。