皆さま、夏休みのあいだ、旅に出られた方も多いことでしょう。
私も実家の母とお墓参りの旅に行ってきました。
京都から山陰線の電車に乗っていたときのことです。
小学1年の秋のお彼岸に一家で、やはりお墓参りにいったときの記憶が
走馬灯のように巡りました。
そのとき、初めて機関車のひっぱる列車、汽車に乗ったのです。
私は田舎育ちで最寄りの駅には転車台があるので
(ちなみに扇形の機関車庫もあります)、よく幼稚園から駅に見学に行ったものでした。
もちろん機関車が走るのは見たことがあったのですが、
乗るのはさすがに40年ぐらい前の当時でもディーゼルカーでした。
私の頭の中では、ディーゼルカー=客車、機車=貨物列車という理解だったのです。
せっかく汽車に乗る機会だったのに、残念ながら機関車をじっくり見た覚えはなく、
客車の中のことしか記憶にないのですが、
クッションなどない座席は固く、頭のあたるところも木の板で
座り心地は決してよいとは言えませんでした。
知らなかったのですが、機関車は発車するときの反動が半端ではないのですね。
頭を背板から離しているとかなりの勢いで出発のときに木の板に
打ち付けることになります。
もちろん私も後頭部に衝撃を受けました。
周りの人の姿勢が妙によかった理由がよくわかりました。
トンネルが近づくと、窓際の人がバタバタと立ち上がり窓を閉めます。
車内が煙だらけになるのを防ぐためです。
本や漫画でそういうことがあると知ってはいたのですが、
本当に閉めるんだと当時の私は感心したものです。
昔の人は妙に姿勢よく汽車に座り、そしてトンネルのたびに窓を閉めたんだなぁ、
そしてこの固い座席にはとても長距離は乗っていられないなぁとも思いました。
短い時間乗っただけでしたが、祖父母の時代は旅をするには
この汽車に乗るほかなかったのかと、小さいながらもその大変さが実感されたのです。
駅からえっちらおっちら歩いていくと、
お寺への階段の真ん中に伯父が座って待っていてくれました。
その時の伯父の笑顔… 幼いころの私の旅の思い出です。