今年はものすごい雨や雷が多いような気がします。
雨も降らないと困りますが、ほどほどがいいですよね。
昔から「地震・雷・火事・おやじ」などといわれ、
たいへん恐れられていたものの一つです。
今回は、雷にまつわる言い伝えをご紹介しましょう。
雷よけの「くわばら、くわばら」というおまじないには、
どのような由来があるのでしょうか?
930年6月26日平安京の清涼殿に落雷がありました。
この落雷は、大宰府に左遷され失意のうちに亡くなった菅原道真の怨霊ではないか
とうわさされたのです。
この時代は、雷や地震など自然災害がなぜ起こるのかわからず、
無念の死を遂げた誰かの怒りによって引き起こされると信じられたのです。
「雷」の語源は【神鳴り】 神が鳴らせたもの、 神の怒りであると考えられたのです。
雷よけの「くわばら、くわばら」というおまじないも、菅原道真の死後、
各地で続いた落雷が彼の領地であった"桑原"には落ちなかったことから
唱えるようになったそうです。
また他にも、雷神があやまって井戸に落ちて農夫にとらえられたとき、
"自分は桑の木が嫌いなので「くわばら、くわばら」といえばそこには落ちない"
と約束して逃がしてもらったという説も。
大阪府和泉市に桑原や、兵庫県三田市の桑原に、伝説の雷井戸があるそうです。
言い伝えには多少異なる部分もありますが…。
このような言い伝えは、昔話にもなっています。
・「かみなりさんの約束」『松谷みよ子のむかしむかし』童心社)
・「くわばらくわばら」長谷川摂子/文 飯野和好/絵 岩波書店
また、おまじないではありませんが、
"雷が鳴ったらおへそをかくせ"ともよくいわれました。
私は子ども心におへそをとられるのだと信じていたのですが、
これは雷雨になると気温が急に下がるため、子どもがお腹を冷やさないように、
また、身を低くするほうが雷に打たれないので、体を屈めさせるために
言ったことのようです。昔の人の生活の知恵ですね。
現在では科学的に解明されているため、
雷を怖いとはあまり思わないかもしれませんが、昔はとても神秘的な現象でした。
ことばの由来をたどると昔の人の想いもわかるようでおもしろいですね。