夏の夕暮れ。
昔はクーラーが普及していなかったせいか、
通りの家々の開けっ放しの窓、お茶の間から、ナイター中継の音が、
聞こえてきたものでした。
何か懐かしい音です。
夕食後には、涼しさを求めて近所や商店街を浴衣姿で散策する家族の姿が、
多く見られたものです。
そこでいろんな夏の音と出会うことができました。
遠くから聞こえる打ち上げ花火の音、夕立の降る音雷の雷鳴、
風が木々を揺らす音、風鈴の涼しい音色。
夏は素敵な音にたくさん出会える季節。
夏の夕暮れと言えば、お祭り。
私の帰省先では「六月灯」というお祭りがあります。
各地の神社や観音堂に灯籠をつけて、趣ある夏の風物詩となっています。
夜店のランプに照らされて、 一生懸命に金魚すくいやボンボン釣りにやったものです。
幼い子供たちが浴衣掛けで、親に手をひかれながら、
淡い灯籠の灯りに導かれて参拝する姿は郷愁を誘います。
昔は、まだ田舎では普通に蛍も見ることができて、
夕方、捕まえてきた一握りの蛍を吊ってもらった蚊帳の中に放って、
その灯りに魅せられたこともよく覚えています。
悲しいかな、蛍達は翌朝には死んでしまって悲しい気持ちになるんですが。
今はずいぶん変わってしまいましたが、
夏の夕暮れは、いつの時代も変わらず、心地よく素敵な時間です。