緑の風が心地よい季節となりました。
初夏の陽気に誘われて出かける機会も多くなりそうです。
海外に出てあらためて日本をふり返ることはよく聞く話ですが、
先日ぶらりと出かけた国分寺であらためて稲城を想う体験をしました。
訪れたのは東京都立武蔵国分寺公園。
駅前の道路から国分寺崖線の坂道を下へ下へと降りていくと
環境庁の名水百選にも選ばれ、いくつもの湧水が豊かに流れる一帯に辿り着きます。
まるで地下の世界に転げ落ちた『おむすびころりん』のおじいさんになったようで
不思議な時空間を味わいました。
代々続く地元の古い家が数軒あり、そのうちの一軒の主の方としばし立ち話。
「稲城では美味しい米が食べられるので、昔は国分寺辺りから稲城に嫁にいった人は
みんなから羨ましがられたそうですよ。」と教えてくれました。
そんな時代があったとは初めて知る事実でした。
それを聞いてなにやら誇らしい気分になったのは我が郷土愛の芽生えでしょうか?
稲城の盆踊りで必ず流れる歌『稲城繁盛節』の一節
「この娘よい娘だ お嫁にやろうか どうせやるなら 稲城の里へ」
の歌詞が主の話にぴたりと一致することも発見!
話を聞きながら、子どもの頃目にした稲城の美しい水田風景が懐かしく思い出されました。
稲城でも世代によっては早い時期に親元を離れ
自立しなければならなかった人も多かったようです。
今は亡き親類のおじいさんもその一人でした。
お正月の雑煮は子供のころ食べた大丸の雑煮が一番旨い、と言い続けていたそうです。
まさに「想い出の味」だったのでしょう。
思いがけないところで遠い昔の稲城と出会いました。
たまには「小さなぶらり旅」もいいものです。