始まりは、高校の渡り廊下にある掲示版だった。
毎年大学の合格発表が始まると、そこには学校ごとに合格者の名前が貼り出された。
サークルの先輩の名前を見つけたのは、初めて目にした
「図書館短期大学」という学校の欄だった。(一体何年前の話だ?!)
それまで縁がなかった「図書館」に、なんで惹かれたのか、まったく覚えていないのだが、
「図書館短大」から「司書」という仕事があることを知り、
「司書」になれる学校は・・・と、学校案内などを熱心に調べたような気がする。
何せ、インターネットのない時代だったから。
とにかく、どうにか大学へ入り、まだその頃は頻繁に「ロックアウト」なるものがあったりしたが、
めでたく卒業。
これまた何のご縁か、稲城市の図書館で働かせていただくことになったのだが、
子どもも苦手だった新人は、いつもカウンターで固まっていた。
“あ!また来た!!”と暗~い気持ちになるくらい、
毎日のように現われては「森田健作だ!貸出券をつくれ!」(まだ覚えているゾ!)と、
常連の子どもたちにからかわれたり、初めて「おはなし会」に出演した時には、
足も声も震えたものだった。
ようやく子どもにも慣れてきた頃、「おねえさん、なんか面白い本ない?」
(その時は正真正銘のおねえさんだった)と、
これまた毎日のように2人組でやってくる女の子に、鍛えられた。
最低2,3冊、はずれの時は5,6冊、借りるものが見つかるまで、
あらすじを説明しなくては解放してもらえない。
当たりをつけながら児童書を借りては通勤電車の中で読み続け、
持ち札を増やしていくしか対抗手段はなかった。
あれから何年経つのだろう。
小さかった利用者が、ある日突然ベビーバギーを押しながらパパの姿で現れたり、
図書館の同僚として登場、というような思いがけない再会があると、
時の流れの速さに、ただただ驚くばかりなのであります。