今年の新年は、家族に病人がいたため、
揃ってお屠蘇で幕開けとはなりませんでした。
加えて年末の忙しさも相まって、私の体は凝り凝りで
動作も緩慢気味。
そこで長年続けている「自彊術」の動作の1つである手振りをし、
体を少しほぐしてやりました。たかが手振りと侮るなかれ、
体が軽くなって気分もシャキッとしてきます。
さてこの「自彊術」、残念なことに知名度が低く
なかなか知っている人に出会えません。
戦前には広く世に知られていたそうですが、戦争の影響もあって
途絶えていたのが、昭和40年に医学博士などによって復活され、
普及会が設立されました。
自彊術が誕生したのは大正5年、医療制度がまだ不十分だった頃、
療法の天才といわれた手技治療師が創案した治療が土台の健康体操で、
全国に普及して行きました。
(自彊術普及会H.P.より)
31の動作からなる体操は、硬くなった関節をほぐし、
歪んだ骨格を矯正し、血液の循環を活発にするとされます。
深淵は中国3000年昔の「按蹻導引術(アンキョウドウインジュツ)」
の流れを汲むもので、「按蹻」とは現在の按摩・マッサージ、指圧、
カイロプラクティック、整体術などを綜合した手技療法、「導引」とは
呼吸法を兼ねた健康体操で、現在中国では「気功」と総称としています。
私がこの体操に出会ったのは、当時住んでいた川崎市の広報に載った
自彊術普及会の「受講生募集」に興味を持ったのがきっかけです。
子供の頃から稀に見る運動音痴で体育の時間は泣きたいくらい嫌い
でした。それでも何故か運動をしなくてはいけないという強迫観念
みたいなものがあり、部活は体育系を選ぶのですが、
もちろん長続きはしません。社会人になってから始めたテニスは
“半径1メールの守備”と茶化されながらも楽しんでいましたが、
度重なる転倒のせいもあって膝関節炎の発症、他の要因も手伝って
座骨神経痛や側湾症ともおつきあいするようになってしまいました。
筋力を鍛えろといつも夫からは忠告されていたのに、
真剣に耳を傾けなかった罰です。
このままでは将来車いすのお世話になるのではないかという不安もあり、
募集要項の“万病克服の治療体術”というフレーズに飛びついていました。
普及会が発行する月1回の会報誌には、90過ぎても元気なおばあちゃん、
医師からも驚くような術後の回復をされた人、持病の症状が顕著に
改善された人、等々、「自彊術に出会えて感謝」といった体験談が
掲載されており、私は密かに魔法の体操と呼んでいます。
教えは日に2回体操を心がけること。このハードな教えを実行する人たちは
このような恩恵に与れるのです。だからといって、私のように
調子が悪い時だけ行う不真面目な者には効果がないかといえば、
そんなことはなく、今、こうして図書館で働いていることが
証だと思っています。
時間にして15-20分、音楽もなく号令のみの単調なリズム、
動きは面白みにかけ、正直、楽しい体操といえません。
でも、健康寿命を延ばすためなら、ずっと続けられそうです。
稲城に越して来てからは、城山文化センターでのサークルに
参加しています。興味がある方は、覗いて見てください。
<参考>
『自彊術ハンドブックー心と体が強くなる』池見酉次郎/著 M496.3 /イ
『気力充実!健康体操自彊術』全2巻 自彊術普及会 D496 /キ(DVD)