「津軽のふるさと」(米山正夫 作詞・作曲)という歌があります。
「りんごのふるさとは 北国のはて・・・・」
秋川雅史さんのアルバム「威風堂々」に収録されていますが、
オリジナルは美空ひばりさんが1952年16歳の時に録音されたものだそうです。
ある時偶然耳にして、曲のスケールの大きさとメロディの美しさ、
歌詞に描かれた情景のやさしさに惹かれました。
そして脳裏に浮かんだのは、若い頃、奥羽本線の車窓から眺めた夏の津軽平野と、
その中にひとりすっくと立つ津軽富士―岩木山の美しい姿でした。
それと同時に「こんな素晴らしい歌を持っている津軽の人は、
なんと幸せなんだろう!」と羨ましい気持ちにもなりました。
曲名で検索すると、図書館の所蔵では秋川さん、ひばりさんのほかに
ポピュラー歌手の畠山美由紀さんがアルバムでやはりカバーしていることが分かったので、
聴き比べてみることにしました。
秋川さんは朗々と歌曲のように歌い上げています。
ちょうど「平城山」のような雰囲気と言ったら分かっていただけるでしょうか。
畠山さんは大きくアレンジを変えて、ジャズ風に軽く歌っています。
そして、本家のひばりさんは、まだ十代の頃の若い透き通るような高音で、
何の技巧も凝らさず真っ直ぐに歌っています。
三者それぞれの良さのある「津軽のふるさと」を味わいました。
音楽好きの人にはそれぞれ、贔屓の歌手やプレイヤーがいるものですが、
たまには演奏者でなく曲名で検索してみると、自分の気に入っている曲を、
思いもよらない人がカバーしているのを発見することがあります。
「演歌は苦手」「ジャズはちょっと・・」という方でも、
普段は踏み込まないジャンルの音楽に触れてみるのも楽しいものです。
(K.T)