久しぶりに歌舞伎を観に行きました。
新橋演舞場の「阿弖流為」という演目です。
「アテルイ」と読みますが、
これは実在した人物で、
平安時代初期の蝦夷(えみし)の軍事指導者です。
蝦夷は、日本列島の東(現在の関東地方と東北地方)や、
北(現在の北海道地方)に住む人々の呼称。
大和朝廷は彼らを恐れ、支配下におこうと侵攻しますが、
うまくいかず、英雄 坂上田村麻呂を征夷大将軍に任命します。
物語はこの二人のヒーローを軸に展開、
歌舞伎の花道は通常一本ですが、
この演目は両側に花道を通し、
アテルイと田村麻呂が所せましとかけまわります。
2002年、劇団新感線と七代目 市川染五郎さんが
タッグを組み、大好評を得た舞台が
歌舞伎として演舞場に帰ってきたのです。
その初演を観て大感激してしまった私は
今回もぜひ!と花道横の席を確保したのでした。
「歌舞伎NEXT」と銘打たれた今回の芝居、
染五郎さんが「誰も観たことのない新しい歌舞伎」を
目指して上演されました。
見得や飛び六法といった
歌舞伎ならではの見せ場もありながら
台詞は現代の舞台と変わらないわかりやすさだったり
殺陣も猛スピードのアクションと
歌舞伎の型を組み合わせたものだったり、
すべてが格好良く、夢のような時間でした。
舞台のときは女優さん二人が演じていた役を
中村七之助さんが演じていましたが、
美しさと哀しさ、強さを兼ね備えた熱演に涙がとまりませんでした。
『アテルイ』(この舞台の原作)
中島 かずき/著 論創社 912.6/ナ
『火怨 北の耀星アテルイ』上・下(アテルイを描いた小説)
高橋 克彦/著 講談社文庫 913.6/タ