ミカンが好きです。
ポピュラーなミカンの基本ともいえる温州ミカンももちろん好きですが、我が家の一番人気は「せとか」です。
せとかは「清見オレンジ」「マーコット」「アンコール」という3週の柑橘を交配して誕生した果物です。3種の柑橘がベースなので甘く、香り高く、鮮やかなオレンジ色が美しいミカンです。ズボラ者ばかりの我が家では皮も袋も薄く、手で皮を剥くだけで食べられる点も高評価です。
もう10年くらいにはなるでしょうか?園芸店の果樹苗売り場でせとかの苗を見つけ、購入しましたが、何度春を迎えても蕾すらつけない状態が続いていました。ミカンの北限はじわじわと北上していますが、ここ多摩丘陵の地はやはり気温が低いのでしょうか?それとも成長がゆっくりなのでしょうか?
苦節10数年、昨年、とうとう白い花が咲きました。花からは柑橘系の爽やかさとフローラル系の優しく華やかな香りがしました。花が散った後は親指の先ほどの小さな緑色の実がなりました。次の早春にはせとかが食べられるかもと期待が高まります。
順調に大きくなる実を見守り続け、10月になったときにはたと気づきました。せとかの実は人間だけでなく、鳥にも大人気ではないだろうか?きっと空から鳥たちが我が家のせとかを狙っているに違いない、今までは香り高い葉っぱに集まる虫たちしか気にかけていませんでしたが、新たに対策を考えなくてはなりません。早速防鳥ネットを注文しました。
ネットをかけて一安心とお思いでしょうが、油断はなりません。いかなる手段を使うのか、気づくとこっそりとこちらからは見えない場所が嘴で突かれています。その度、注意深く木を観察し、ネットの微調整をします。
こうして攻防を続けること数ヶ月、鮮やかなオレンジ色のせとかを10数個収穫することができました。大きさもお店で売っているものと遜色ありません。自家栽培したせとかは甘くて美味しくてジューシーで……大変幸せなお味がいたしました。
収穫が遅かったせいか、今年の春、またもや、せとかは花を咲かせませんでした。新たな挑戦の始まりです。もっと研究と工夫を重ねて安定した収穫を目指したいと、密かに拳を握る私なのでした。