| 2010/05/27 | ちいさな旅 ――雑記―― | | by 図書館スタッフ |
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ゴールデンウィークを遣り過ごし、先日、気が置けない仲間と小さな旅をしました。
開通間もない湘南ラインを利用した、草津へのことでした。
風薫る都会を離れ、4時間ほどで山の中に身を置いていました。
吾妻線にそって広がる山々の中には話題の八ツ場ダム予定地なども見られ、
芽吹いた大木の間に、ぼーっと白く浮かぶ山桜や、紫の桐の花等が遠望され、
人里には、つつじや芝桜などがくっきりと咲き誇り、そこには未だ“春”が歩を留めていました。
湯の街から見る白根の頂は、残雪を冠し、とても穏やかで、
文人や著名人が多く訪れたと記されていました。
そぞろ歩きで見つけた小林一茶の句 『湯けむりにふすぼりもせぬ月の貌』
この句の「ふすぼり」という耳慣れない言葉の意味を友人に問われ、
私は「まあ、湯煙が立ち昇る中でも、
お月様のお顔ははっきりしているというようなことじゃないかしら」
などと適当に答えておいた。
帰宅して後、古語辞典と広辞苑をみたところ、ふすぼる---燻ぼる---くすぶる
となっており恥をかきました。
そして無責任にも旅の恥(?)として掻き捨てました。
長い旅は言うに及ばず、こんな小さな旅もなかなか佳いものです。
今年の天候不順が幸いに転じて、二度の春に触れたような、ちょっと得した旅でした。