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2015/03/06

とおくの細道

Tweet ThisSend to Facebook | by 図書館スタッフ
3月は卒業の季節ですね。
卒業式の一番の思い出は、小学校の式のあとのことです。
当時は通学路も含めてのんびりとした時代でした。

卒業生の私たちは卒業式が終ったあとも校庭でおしゃべりに夢中でした。
先生方に促され学校を後にしたものの、離れがたかったのでしょう。
「いつもは学校に近い子から家に帰るけど、一番遠い子をみんなで送ってから帰ろうよ。」
と誰かが提案しました。
毎日一緒に下校していた仲間は、学校に一番近い私を送ってくれたあと、
一人二人と去り、一番遠い子は大きな公園を管理している家で、学校から子供の足で
30分くらいかかるところでした。
その日の残り組には、その公園より遠いお寺のNちゃんがいました。
少し遠いけどみんなでNちゃんを送ることにしました。

話しながら大きな公園に着くと知りたがり屋のKちゃんが、
筒の中の卒業証書をなぜだかどうしても見たくなってしまい、
ベンチに座り筒を開けたのです。
証書には校長先生の達筆な字が見え、
Kちゃんは自分の名前をじっくりと確かめると安心したのか、
これでゆっくり話しができると笑いました。
ベンチにみんなの筒と一緒に置き、話し続けました。

しばらくしてNちゃんが帰ると言うので、みんなでお寺に向かいました。
公園からほどなく歩いたところに細い道があり、5分ほど歩くとお寺に着きます。
左右には大きな木が茂り、春の光が差していました。
Nちゃんは私たちとは別の中学校に行くので、
頑張ってここまで来て良かったとみんなが思っていました。
念願の、一番遠い子を送り細道に戻った時、少し日が傾いてきました。
ちょっと遠くまで来過ぎたかとみんな思っていたようで、足早に通り抜けました。
大きな公園に戻ると、安心したのと同時に不安にも思ったのか、
Kちゃんがまた筒を開けました。
すると、証書の達筆な名前はKちゃんではなく、今送ったばかりのNちゃんの名前でした。
みんなはそれぞれ慌てて確認するものの、自分の名前は無事で、
Kちゃんのはお寺にあるようです。

律儀な仲間でした。今来た細道をみんな揃って引き返したのです。
お寺に着くとのんきなNちゃんが、またみんなが来てくれた、と喜んでいました。
Nちゃんが持っていた卒業証書は、やっぱりKちゃんの名前でした。
何度細道を歩いたことでしょう。
一番遠いNちゃんを二度送ったことになり、次に公園の子を送り、
知りたがり屋のKちゃんを送り、ほかに二人ほど送り、
そうして最後に、学校そばの自分の家に私がたどり着きました。
母が怒った顔で出迎えてくれたことは忘れません。
今でもたまに、日が傾きかけた細道が夢に出てきます。

卒業生のみなさま、ご卒業おめでとうございます。
卒業式のあとは寄り道せず、ご自分の名前の卒業証書をしっかり持ち帰り、
どうぞご家族を安心させてくださいね。
20:25