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2024/03/20

数学者たちの黒板

Tweet ThisSend to Facebook | by 図書館管理者
タイトル:『数学者たちの黒板
著:ジェシカ・ワイン
訳:徳田功
出版:草思社
資料コード:612366204
請求記号:410.4/ワ

『数学者たちの黒板』は、世にも珍しい「黒板の写真集」です。
写真家である著者が世界中の数学者109人を訪ねて撮影した板書の写真と、その黒板にまつわるエッセイが収録されています。

黒板に描かれているのはアルファベットと記号だらけの難解な数式や、まるで抽象画か子供の落書きのようにも見える不思議な図形たち。内容は教授が学生とのディスカッションのためにさっと書いたものから、一人の数学者が三十年以上取り組んでついに証明できた問題まで様々です。
添えられた解説によると、それらはどうやら理論数学や宇宙物理学、ビッグデータ解析などについて論じたものらしいのですが……残念ながら、まったく理解できません。しかしどの写真にも不思議な魅力があり、現代アートを鑑賞するように見飽きず眺めることができます。
もう一つ、個人的には黒板と一緒に映りこむ部屋の風景も見どころのひとつです。観葉植物や広々とした窓があるお洒落な研究所もあれば、書類の山と飲みかけのマグカップが並ぶ雑然とした教室もあり、謎に満ちた数学者たちの日常をちらりと垣間見ることができます。

「数学が生み出されるところなら、必ずどこかに黒板があるだろう」。
エッセイを寄稿した研究者の一人がこう語ったように、本書を読むと、デジタル化が進んだ現代にあっても多くの数学者にとって黒板がとても重要なツールであることが分かります。
黒板はゆっくり書くことで思考をまとめやすく、間違った箇所をすぐに修正できるという利点があります。また、視界に数式全体を収めることで直感的なインスピレーションを得たり、共同研究者たちと議論したりすることも可能です。こうした点が試行錯誤を必要とする数学的な思考にぴったりなのだといいます。もしかすると、この先何十年経っても、数学者たちは黒板を使って研究を続けているかもしれません。

ちなみに、黒板には欠かすことができないチョーク。この本によると世界中の数学者が口を揃えて日本製の「ハゴロモ・チョーク」を激推ししています。何でも書き味が抜群に良いのだとか……。その点では、日本の小中高生はフィールズ賞受賞者もうらやむ恵まれた環境で勉強していると言えそうです。

眺めて楽しい、読んで興味深い『数学者たちの黒板』。中央図書館に所蔵されていますので、ぜひお手に取ってご覧ください。


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