本を読むとき、いつも何気なく使っている"しおり"。
多くの場合、単純な紙切れですが、実はとても優れた道具だと思います。
普段の読書の時、この忙しい毎日では一気に読んでしまうことは普通まれで、大抵は休み休み読みますよね。
そんな時、どこまで本を読んだのか、案外忘れてしまうものです。
しかし、これさえあれば、たちどころに思い出すことができます。
もっとも、あまり長い間放っておくと、読んだ場所が分かっても、前の内容を忘れてしまって、ゼロから読み直しなんてこともありますが。
ところで、これを漢字で書くと、"栞"ですが、語源は"枝折"から来たことをご存知ですか。
なぜ"枝折"と書くのか調べたところ、これは木の枝を折ることで、山道などを歩く際に目印としたことから来ているそうです。
つまり枝を折るから"枝折"。これが転じて、本などのページがどこまで読んだものか、分からなくならないように挟んだものを"しおり"と呼ぶようになったそうです。(暮らしのことば語源辞典 R812/ヤ より)
山で道に迷うという、命にもかかわることから来ているなんて、少し意外でした。これに比べたら本の中で迷うことぐらい、どうってことありません。
こう考えると、面白い本に出会って、一気に読んでしまうのは、言わばわき目もふらずに目的地へ向かうこと。少しもったいないと思いませんか。
"しおり"に助けられながら、少しずつ読むことは、道中の風景を味わいながら、のんびり旅することにも通じるような気がします。
きっと一気読みでは見つけられなかった何かに出会えるチャンスがあるかもしれません。こう考えると、急がず、のんびりした読書もまた良いものだと言えるのではないでしょうか。