蔵書検索


 
詳細検索
新着資料検索

利用方法
 

休館日

開館カレンダー


 中央 第四月曜日
 年末年始・特別整理期間
 第一
 第二
 第三
 第四
 月曜日
 祝日・年末年始
 特別整理期間
 iプラザ
 第二・第四月曜日
 (祝日の場合は翌日)
 年末年始・特別整理期間
 

開館時間

中央・iプラザ 9:00-20:00
第一~第四 10:00-17:00
*7月21日~8月31日 
 火~土曜日:9:00-18:00
 日曜日:9:00-17:00
 

iブラリブログ

おすすめ資料 >> 記事詳細

2013/02/04

スタッフのおすすめ本!(2月)

Tweet ThisSend to Facebook | by 図書館スタッフ
書名:医者は現場でどう考えるか
著者:ジェローム・グループマン著 
出版社:石風社 
請求記号:498.2/グ
 
 
「病気やケガを少しでも早く治して欲しい」そう思って病院に駆け込み、すぐに治ると「いい医者だ」
と思うものですが、なかなか治らないと「あの医者は信頼できない」と思うことはありませんか?
すぐに治らないのは、単に治癒までに時間がかかる病気だったのかもしれません。あるいは、医者
の言いつけを守らなかった自分のせいかもしれません。しかし、医者の診断ミスであるはずがない、とは言い切れないことがあるのも事実です。もしそうだとしたら、病気が重大であればあるほど事態
は深刻になってしまいます。
 
では、なぜ医師は正しい診断に導くことができるのでしょうか? どうして医療ミスが起こるの
でしょうか? 本書は実際に医療の現場で活躍する医師の立場から、見て、考えたことを教えて
くれます。
 
医師は長い年月をかけて専門的な勉強をし、経験を積むことで適確な判断や技術を身につけます。
しかし、著者は「診断エラーは医師の技術的問題ではなく、医師の思考法の欠陥」と指摘します。
現代医学では、治療のベースとなるエビデンス(治療を選択する際の科学的根拠)が確立し、それ
に基づいた医療が施されます。一方で、「エビデンスがもっとも正しいと医師が思い込むことの危う
さ」があるというのです。一刻を争う医療の現場では、どんなに経験を積んだベテランの医師であっ
ても、エビデンスや積み重ねられたデータだけに依存していると、重大な所見を見逃してしまうこと
があります。それを、実際に最先端医療を受けた患者の家族が、権威ある医師の診断をくつがえ
し、医師の診断ミスを指摘したケースなどを通して、どうしてそのような事態に至ったかを解き明し
ます。それはまるでミステリー小説を読んでいるかのようで、知らなかった医療の現場の臨場感に
圧倒されます。
 
もちろん、医療ミスは医師側だけの問題ではありません。私たち患者側としても、医師にきちんと
症状を伝えなかったり、必要以上に薬に頼り過ぎるなどの問題もあります。本書を読むと、医療を
施す側、医療を受ける側、双方の問題点が見え、私たちの正しい医療の受け方についても考え
させられます。 
 


書名:母の遺産 新聞小説
著者:水村 美苗
出版社:中央公論新社
請求記号:913.6/ミ

 
「もう 若くはないが、さりとて老人というには、まだしばらくあるような」50代の娘と、
その昔は奔放に振舞っていたが、今は何とか収まるところに収まっている老母との折々を
表した小説です。
 
年老いていくことを、「今に留まることさえできず、いづれは劣化した何者かになっていく
現実が待っている」とし、老化があたかも人間の劣化であるような否定的な捉え方をしつつも、
娘が潔く生き抜く様を肯定的に著しています。
美津紀とその姉奈津紀が、極めて個性的、ハッキリ言えば自己中心的な母紀子を介護し看取る
まで、それに繋がる親族の思い出も交えつつ濃厚に描き出し、男には到底理解しがたい、女の
本音と実態をよくここまであらわに書いたものです。
 
物語は、母が死んだ数時間後にして、母の入居していた高級老人ホームからの返金額や遺産
など、自分たちに転がり込むお金について語る場面からスタートします。それも「あの母」「解放」
「昂奮」と文字が並び、母を失った悲しみや涙などという、死に普通に使われる言葉が見当たら
ないことで、姉妹と母の関係が穏やかなものでなかったことが、およそ想像できます。
母一人に姉妹二人が振り回され続け、1対2でようやく太刀打ちできたと思われ、やはり母という
存在は厄介なほど大きく、母の影は苦しいほど濃いものとなっています。
母から美的な物に対する感覚を受け継ぎ、血の濃さを感じさせつつも、母の生き様を反面教師に、
小説の展開でかかわりを持つかと思われた男の名刺を「指先で細かく千切った」潔さが好ましく
思えます。
外に女を作った自分の夫との別れを決意し、離婚が法的決定となる前に自分が死んだ場合、夫の
もとに遺産がわたるのをなんとしても阻止するために、JICAに寄付する遺言状を作成するあたり、
女の意地も垣間見え笑ってしまいますが、そのような行為をした夫に対して当然とも思え、小気味
よい思いがします。
 
読後が暗くならず、すっきり晴れやかなものになるのは、新居に移り住み、心の平穏を取り戻した
娘の母に対する許しを見、「あの母」も娘の全てを受け入れていたと娘が理解するに及んだからか
も知れません。
 
装丁は題字の「産」の字に、お宮さんの金剛石の指輪がひっそり輝いている洒落たつくりです。
11:18