| 2015/06/15 | スタッフのおすすめ本!(2015年6月) | | by 図書館スタッフ |
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書名:平成大家族
著者:中島 京子
出版社:集英社
請求記号:913.6/ナ
ひところ大家族というと三世代同居のことだった。
当節テレビで話題になっている大家族は子だくさんのご家庭。
『平成大家族』の舞台となる家族は親子3人と別棟に住むおばあちゃまの4人。
三世代ではあるが大家族というほどではない。
主は歯科医を営んでいたが今は引退している。
30歳を過ぎた長男は、ここ10年家から出ずひきこもったまま。
妻の母親であるおばあちゃまは90歳を超え、戦争のころと現在の記憶が交差した状態。
それなりに波風立てずに暮らしてきていたのだが、そこに、
嫁いだ2人の娘がそれぞれの事情を抱えてころがりこんできた。
夫が事業に失敗し、住んでいたマンションも処分せざるをえなくなった長女は
夫と中学生の息子を連れて舞い戻ってきた。
有名私立中学校に見事合格したものの、学費を払い続けられそうにないという
親の事情で公立中学校に転校を余儀なくされてしまった息子は15歳という多感な時。
親と同じ部屋で川の字になって寝るなんていくらなんでも無理。
夫の転勤で大阪に行っていた34歳の次女は夫と離婚して戻ってきたのだが、
どうやら妊娠しているらしい。しかもその父親は元夫ではなさそう・・・
4人だった家族があっという間に四世代8人。いや間もなく9人。
部屋の割り振りからしててんやわんや。
「こんなはずではなかった」という閉塞感をかかえた登場人物一人一人の目線で物語は
少しずつ展開していく。果たしてあるべき自分の居場所を見つけていくのか・・・
平成らしいシリアスな問題に触れながらも、全体に流れるゆるさとユーモアで
深刻にならないところは筆者のうまさ。
え?そんな展開あり?など突っ込みながら読んでみてください。
書名:セロニアス・モンクのいた風景
編者・訳者:村上 春樹
出版社:新潮社
請求記号:764.7/ム
お詳しい方には、説明不要かとは思いますが、
セロニアス・モンクはジャズのピアニストです。
今回ご紹介する本は、ご自身もジャズに造詣の深い
村上春樹さんが、趣味で集めた音楽関係の文献の中から
モンクに関する文章を抜き出したものです。
村上さんによるあとがきの、
「セロニアス・モンクに関しては、多くの人がなぜか
とても素晴らしい、あるいは興味深い文章を書き残して
いる。おそらくモンク自身の中に、あるいは彼の音楽の
中に、そういうホットなコミットメントを喚起するものが
あるからではないか」
という分析どおり、様々なモンクの姿を発見できる文章が
楽しくて、珍しく夜更かしの読書をしてしまいした。
巻末の、村上さんによる「私的レコード案内」をご参考に、
セロニアス・モンクの音楽を聴きながら、ウイスキーなど
飲みつつ、お読みになってみてはいかがでしょう。