今年の夏もガイドブック片手にどこの街を歩こうか・・・・。
といっても私は地図を読むのが苦手。
京都の鴨川がタテになったりヨコになったりと
ガイドブックのページによって違うのには閉口する。
自分の頭を地図に合わせるのは難しいので、
広げた地図の方を上下・左右ひっくり返して読むことに。
このことを人に話すと「そうそう、私も!」という人が結構いるのがうれしい。
ひと昔前、『話を聞かない男、地図を読めない女』というタイトルの本が
ベストセラーになったことを思い出す。
先日、母と姉が眼鏡ケースを川崎街道に見立て、
遠い昔の記憶の場所をテーブルの上で確認し合っていた。
が、お互い相手の置く“川崎街道”の位置が気に入らないらしく、
ケースを乱暴に奪い取っては置き直し言い合っている。
しまいには「ケースの中の眼鏡が壊れる」と母がむきになって怒りだす始末。
私が地図オンチなのは間違いなく遺伝であると確信した。
ついでに人の話を聞かないことも。
この母と知らない土地を歩くたび、方向感覚の良さに驚かされる。
「あの山を東に見てと・・・・。」といった具合に難なく方向を見定める。
自然豊かな稲城に生まれ育って培われたまさに野性の感覚だろうか。
ショッピングの帰り、多摩川に架かる是政橋の上で車の渋滞にあった。
フロントガラス越しに見える多摩丘陵は見慣れた景色だが、
あらためて眺めてみると本当に横に長く続いている。
万葉の時代から「多摩の横山」と歌われていたことは知っていたが、
横山とは言いえていると実感した。
渋滞が解けるまで、しばし“いにしえびと”の気分を味わった。
右手(西のはず)の遠くに見える山々はどこの山だろう。
たぶん――。やめておこう、とんでもないことを言ってしまいそうだから。