タイトル:『雑草キャラクター図鑑』
中央図書館資料コード:611947065
著者:稲垣栄洋
出版社:誠文堂新光社
請求記号:470/イ
「雑草」というのもずいぶんな言われようだと思っていました。
「雑」の字って、「雑巾」とか「あの人の仕事って雑よね(怒)」のように使われて、あまり良い意味はないと思っていましたし。
けれど。これはもの知らずから来る思い込みだったのでした。雑には「多様な」という意味もあり、雑草とはつまりは「いろいろな草」なのですね。
しかしながら、よく言われるように「雑草」という名称の植物はないわけで、どんなにぱっとしない草にだってそれぞれちゃんと名前があってその名前には由来があったりするし、また、それぞれに独自の性質を持っているのです。
この『雑草キャラクター図鑑』は、そんな地味ながらけなげに生きている雑草たちの名の由来や性質に着目し、それを擬人化・キャラ化したイラストとともに紹介している、とても楽しい本です。
たとえば「トキンソウ」という植物を見てみましょう。
漢字では「吐金草」と書きます。秋に4ミリほどの緑色の花を咲かせる本当に地味な雑草ですが、小さな丸い実を押しつぶすと黄金色の種が吐き出されるように出てくることからこの名がつきました。地面にへばりついているような目立たない草にこんな景気の良い名前をつけた昔の人のセンスに脱帽です。
さてこれがどんなキャラになっているかというと……キャラ紹介のキャプション→「飲み屋で気前よく金をばらまく成金オヤジ。見た目は冴えないが店ではモテモテ」。見るからにダサくてイケてないオヤジがクラブ(「クラブ」と平板に発音してください^^)のような店で「ガハハ」と笑いながら金をばらまき、女の子たちがキャーキャー言いながら群がっている、という次第。おっかしい(笑)。
ならば。「ヘクソカズラ」とか「オオイヌノフグリ」なんて強烈な名前の植物のキャラはどんなんだか見てみたくありませんか?えへへ…ご期待を裏切りません!
この本をお供に、散歩に出かけてみませんか。今まで気にも留めていなかった道端の雑草たちが、それぞれオヤジやら娘さんやらにキャラ化し、お互いにわあわあ言い合っている…なんて想像したら、歩くのが何倍も楽しくなりそうです。