| 2010/12/23 | スタッフのおすすめ本!(12月) | | by 図書館スタッフ |
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タイトル:『こどものとも 年少版』(2010.2)
「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん」
著者:高野文子/作・絵
自分の眠りに自信がないと思っていた時に出会った絵本です。
自信喪失のきっかけは、あるラジオ番組で入眠調査という企画を聴いたことから始まります。
眠りに入る前に必ずとる行動・習慣などをリスナーに調査するのですが、
とても興味深い回答の連続でした。
それでは自分の入眠儀式はと考えてみると、見事になにもしてない!
飲んで眠るだけなのも習慣と言えば習慣ですが、
あまりにも眠りを軽んじているではないか。
そう言えば深夜に目覚めるし、そのあとはおかしな夢の連続だし、
からだ(特に右側)がこわばっている気がする…
この絵本で描かれている、子ども時代の眠りへの不安(おねしょやおっかないゆめ)を
実感することはもう難しくなっていますが、
男の子が唱える「しきぶとんさん かけぶとんさん まくらさん」という眠る前のおまじないは、
自分がなくしていた眠りへの畏れを思い起こさせてくれました。
眠りに落ちていく身体のリズムと同期するかのような言葉のリズムと、
高野文子さんが描くほどけそうな、やわらかな線とが、
しきぶとんさんたちの包み込むような安心感を読む側に与えてくれます。
自分もひとつ眠る前に、まくらさんにおたのみしてみようか、
そうすれば、仕事の夢を吹き飛ばしてくれるかも…
※雑誌『illustration』(2011.1)の特集「絵本に挑む~他ジャンルから絵本の世界へ~」で、
この絵本の製作の様子を垣間見ることができます。
高野文子さんの絵に興味がある方は、絵本とあわせていかがでしょうか。
タイトル:「黒い家」
請求記号:913.6/キ
著者:貴志祐介
普通に生活していて、危険に会う確率はどのくらいでしょうか。
なんの根拠もなく「多分少ないはず」そう望みながら、我々は生活しています。
彼、若槻慎二もそう思って、食べて寝て恋して働いていたはずです。
あの人と関わってしまうまでは・・・。
保険会社に勤め、クレイマー対応もしている若槻は、職業柄そういった「アブナイ人」とも
否応なく接しなければならず、ある程度の危険は想定済みであったはずです。
しかし、これほどの恐怖を体験するとは思ってもいなかったはずです。
それは職場にかかってきた一本の電話が始まりでした。
幼い頃見殺しにしてしまった兄の死で、トラウマをもつ若槻がかけた優しさが、
邪悪なもののつけ入る隙を与え、おぞましい犯罪の現場へ導かれ、
やがて奈落の恐怖へと突き落とされていきます。
終盤、犯人との直接対決も凄まじく、鬼と化したとも思える犯人の圧倒的な狂気の前で、
若槻は絶体絶命のピンチに立たされていきます。
生命保険会社に勤めていたことがある作者、貴志祐介ならではの
業界裏事情もたっぷりの小説で、
何としても金をせびり取ろうと、姑息な手段も厭わぬ者たちと、
それを是が非でもくい止めようと、あらゆる手を打つ保険会社との対峙も見所となっています。