著者:ミヒャエル・エンデ
出版社:岩波書店
資料コード:612113809 ほか
請求記号:児童943/エ
私自身がミヒャエル・エンデの作品に初めてであったのは、中学1年の夏。
『はてしない物語』だったと思う。それこそはてしない大長編ファンタジーで、長編を読み慣れていなかった当初は目が回ったが、読み終わった後の余韻は忘れられないものとなった事を記憶している。
その後、もう一つの名著、『モモ』にもすっかりはまり、エンデのファンタジーが大好きになった。
今回、エンデの魅力を小学生の我が子に伝えようと、手に取ったのがこの本だった。
『はてしない物語』ほどはてしない長編ではなく、『モモ』を理解出来るほどにはまだ少し幼い精神年齢の我が子には、とっつきやすいのではないかと思った。
お話の舞台は2つの代表作に比べるとシンプルで、主な登場人物も魔法使い2人と猫とカラスのみと、とてもコンパクトな気がする。また、時間軸もとても短い。大晦日の夕方5時から年が明けるまでの、たった7時間の中で展開される物語である。
悪い魔法使い達VS猫とカラス、どちらが勝つか?!大晦日の夕方から年が明けるまでの短期決戦がスタート!といった具合だ。
もっとも、エンデの魔法で、知らず知らずのうちにどんどんストーリーに引き込まれてあっという間に読み進めてしまうのは間違いない。そして、これからの世界をつくっていく子ども達に向けて、エンデらしい形でしっかりとメッセージが込められているのも変わらない。
もう一つ、実は本を開いてみるとわかるが、ちょっとした遊び心も見られる。
一つ一つの章はなく、かわりに時計の絵が描いてあるのだ。しかも、すこしずつ時刻が進んでいく。我が子はこの時計を目安に「昨日は確か何時何分まで読んだぞ。」と、毎日少しずつ読み進めて楽しんでいる様だ。
この『魔法のカクテル』を入り口に、エンデの世界に入り込んでくれたら…という母の思惑は、果たして成功するだろうか。
参考:『はてしない物語』/資料コード:610443144 ほか
:『モモ』/資料コード:610516090 ほか