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2025/05/20

駆込み女と駆出し男

Tweet ThisSend to Facebook | by 図書館管理者
タイトル:『駆込み女と駆出し男
監督:原田眞人
出演:大泉洋、戸田恵梨香、満島ひかり
請求記号:D7AF/カ
資料番号:630219646

2025年。巷では、江戸時代が舞台の大河ドラマが流行っている。
多分にもれず私もそのうちの一人。
何に興味を惹かれたかというと、江戸言葉と人情である。
まだまだ身分制度であった江戸時代に、庶民たちが粋に人情たっぷりに日々を生き抜いた様を江戸言葉が表していると思う。

江戸の言葉遊びで有名なものは、語尾を語呂合わせで遊ぶ言葉遊び。
「ありがた山のかんがらす」や「驚き桃の木山椒の木」なんてのもこの時代のものだそう。
ただのダジャレじゃないかと思ったりもするが、江戸っ子は生活に遊び心をたっぷり取り入れる。またそれをまくしたてるように早口で話すのも粋。
この時代には判じ絵、文字絵なども流行ったが、このような言葉の遊戯性に江戸人の時代を生き抜く心意気が感じられる。

映画でも江戸の雰囲気を感じられる作品はないものかと探してみたところ、この作品に出会った。

時代設定は江戸後期。天保12年(1841年)老中・水野忠邦による「天保の改革」が発表され、贅沢禁止令なるものが発令された年。
あれ?200年しか経ってない、なんて思いながらもまだまだ女性からは離縁できない時代。

舞台は幕府公認の駆け込み寺、鎌倉の東慶寺。
追手が来たらとりあえず下駄でもなんでも投げ込めば成立。駆け込み成就。
駆け込む人ってそんなにいるの?と思ったが、江戸時代の離婚率は現代の2倍だったとか。なんと!驚き桃の木山椒の木。

戯作者に憧れる見習い医者である信次郎(大泉洋)は、駆け込んできた女たちの身柄をあずかる御用宿に居候している。
御用宿の主人(樹木希林)と共に、様々な事情を抱えた彼女たちの訴えを聞き取り調査し調停していくのだが、口八丁手八丁、奇抜なアイデアで女たちを手助けしていく。

駆け込み寺に必死の形相で駆け込む女2人。
放蕩DV旦那から逃げてきた”じょご”を戸田恵梨香、妖しい色気が漂う豪商の妾”お吟”を満島ひかりが演じている。この2人が演じる”じょご”と”お吟”を見ていると、粋とはまさにこのことか、と圧倒される。

まさに”人情”というい心の機微が強く優しく描かれていて、”健気に精一杯生きた江戸の人々”を感じられる作品なのだ。

大泉洋さんの口上のおもしろさ、スピード感、ものすごく喋るけれどイやな感じがしないのも魅力のひとつ。時に舞台調で、また笑ってしまう要素もあり、2時間半が短く感じられる作品であること間違いなし。

原作は、井上ひさし著「東慶寺花だより」。
劇作家でもある著者が10年かけて完成させた連作短編集。
こちらの作品は静かな感動に満ちていて、美しい四季がより感じられる名著作。
読んでいただけたら※桐の木かと。

※桐材は琴の材料に適していることから、琴によい、すなわち「殊に宜しい」の意味で使われた江戸の言葉遊び

参考文献:『東慶寺花だより
著者:井上ひさし
請求記号:913.6イ
資料番号:611403081(中央図書館所蔵)


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