ちょっと時期が過ぎてしまったけれど、少し前に家の枇杷がどっさりと実をつけました。
私が幼稚園の頃に種を植え、大きく育った木です。
当時、世の中はバブル景気に沸いていた時代でした。
遊びに来た伯父が、お土産にもってきてくれた枇杷。
それはスーパーで見るようなパック入りなんかではなく、木の箱の中に整然と並べられたもの。
一目見て特別と感じ「おー?(なんかすげー)」。
一口ほお張り「おおー!(うまーい)」と感嘆。
手をベタベタにしながら、食べつくした逸品でした。
けれども、楽しい時同様おいしい時もあっと言う間に終わってしまうものです。
口の中で味のしない、種をごろごろさせながら、
「もっと食べたい…そうだ、この種を植えればたくさん食べられる!」
と言う、成長過程を全く無視した思いの下、
砂場用のスコップ片手に、植えたのが二十年以上も前の事。
日当たりは決して良いとは言えない場所に植え。
肥料という概念もなく(…飼っていたハムスターが亡くなった時に根元近くに埋めたぐらい)。
程ほどに成長した頃に、親父殿が「枇杷の木は硬くて、木刀にいいんだよー」等と
物騒なことも言っていましたが、無事成長して実をつけるに至りました。
さて、肝心のお味はと言うと…。
人の手が届かないのを良いことに、鳥達がいいところを食べてしまい、
残りは割れていたり、虫がついていたりと食べるにはいまいちの状態…。
手の届く範囲で、実をもいでかじってみたところ…酸っっぱ!
残念ながら今年は不作のようです。
朝、窓から見える大きく育った木を眺めては、
「桃栗三年、柿八年、枇杷は早くて十三年」の言葉を噛締めながら
種からよく育ったもんだーと感心しきりのこの頃です。