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2016/12/17

『残穢』

Tweet ThisSend to Facebook | by 図書館管理者

書名:『残穢』
著者:小野不由美
出版社:新潮社
請求記号:913.6/オ
中央図書館所蔵コード:611529889


怖い怖いお話です。

始まりは、誰もいない部屋で聞こえる、畳を擦るような音だった。
ほら、もう怖~い気配が濃厚でしょう?でも、よくある怪談ばなしとはひと味もふた味も違うんです。

タイトルは「ざんえ」と読みます。「穢」はケガレ。穢れとは、辞書によれば

「不浄。死・疫病・出産など異状な生理的事態によって生じ、共同体に脅威をもたらすと信じられ、避けられる。特に死による穢れは『死穢』といって重大視された。穢れを除くためには祭祀を行う必要があった」。

小むずかしく言ってますが、なんとなく「わかる」感じがしませんか?

普段の生活で意識することはあまりないけれど、私たちの感覚の底の底の方に存在する概念なのかもしれません。でも、その「穢れ」が「残る」ってどういう意味なんでしょう…?

妙な音がする部屋のあるマンションでは、怪異の原因になりそうな事故や事件が過去に起きていた、ということはありませんでした。でも、マンションが建つ前は?さらにさかのぼって、高度成長時代の開発やバブル期の地上げを経て土地が今のような姿になる、その以前は?部屋の住人の〈久保さん〉と小説家の〈私〉は調査を開始します。

〈私〉は「穢れは伝染する」と言います。さらに、現代では人は土地に根付くことなく、一生のうちに何度でも住まいを変え、移動しています。では、ある土地に、あまりに強いために祭祀、お祓いをしても浄めきれずに残った穢れ「残穢」があったとして、その残穢に感染した人間が別の場所に移動したら?穢れは広く薄く拡散していくのではないか…?

〈私〉と〈久保さん〉の調査は、ついには北九州まで行き着きます。最後に知った驚くべき事実とは…?

〈私〉とは明らかに作者自身がモデルです。これは事実なのか?フィクションなのか?どちらとも判別のつかない語り口ともあいまって、背中の方からじわじわとせまって来る怖さがあります。引き込まれるように一気読みし、そのあと、怖くてたまらないあまり「読まなきゃよかった」とつぶやきました。でもすぐにまた手に取って、読み返さずにいられませんでした。

ありきたりの怪談では物足りない怖いもの好きのあなた、ぜひご一読を。


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