旅好きで、訪れたことのない場所に興味深々で、暇だとついつい旅行パンフレットを眺め、
次はどこに行こう・・・。
以前から訪れたかった熊野古道へ行って来ました。
自分で乗り物や宿の手配をするのも好きですが、熊野古道を歩くとき荷物はどうする?
ということでツアーに参加しました。
世界遺産に登録され俄然人気で、1日目は高野山、2日目3日目は熊野三山、
中辺路を歩くのです。
3日とも、語り部の方が付き、実に流暢に説明してくださり、何キロも歩きます。
大きな荷物はバスに置いたまま、リュックを背負い要所を歩き、
バスで次に移動し、また古道を歩くという、ちょっとズルいやり方です。
最近シニアの皆さまがとても元気に登山やハイキングされてますが、
御多分に漏れずこのツアーもパワー全開。
一日目、三大霊場の一つ、高野山(あとの二つは、恐山と比叡山だそうです)で
弘法大師の偉大さに触れ、厳かな雰囲気に浸ります。
歴史に名をはせた数々の名将が修行に来たり、お墓があったり、
お坊さんが修行に来る場所だそうで、格の違いを感じます。
二日目三日目はいよいよ熊野古道を歩きます。
平安時代に始まり、後鳥羽上皇などの熊野への参詣は100回以上!!
で次第に庶民まで広がったとか。
京都から淀川を下り大阪に出て、紀伊路の沢山の王子(神社)を参拝しながらの旅は、
往復一か月かかったそうです。
険しい山道をハイキングシューズも履かずよく歩けたものですね。
それを美味しいとこどりで、二泊三日で重要な所を周るなんて・・・。すみません。
何故詣でるのか?
熊野は昔から蘇りの国とされ、黄泉の国熊野に足を踏み入れ、一度死んで魂を浄め、
熊野から出るころには再生を果たすということです。
白装束に身を固め杖を持ち行くのは、途中で亡くなった時に、その場に埋めてもらい杖が
卒塔婆になるとのことで、ちょっと怖いですね。
三山を巡れば、過去、現在、未来の安寧を得る。罪障の消滅と再生を願う人々の
足跡が残る祈りの道なのです。合掌。
現代の私達は、石畳が敷かれた杉並木の中を森林浴しながら、石の童子像や
のどかで幻想的な里山の風景を楽しみながら古を偲びます。
熊野古道は、今回の中辺路の他に、伊勢路、大辺路、小辺路、大峯奥駈、
紀伊路があります。いつかそれぞれの道を歩いてみたいものです。
途中の民家には、『ほんまもん』ロケ地の看板が・・・。昔の朝の連ドラで、池脇千鶴さん
主演のドラマで主人公の実家として出てたそうです。
熊野大社近くに『音無川』があります。女優の音無美紀子さんのおじいさまが
宮司さんだったそうで、音無の美しい紀の国の子と芸名にしたとか、
また、紀子(きこ)様のおじいさまが和歌山の出身で紀の国の子と名付けたとか。
サッカーの日本代表シンボルの八咫烏は熊野の神の使いですが、何故八咫烏を使うかというと、
初めて日本にサッカーを広めた人が和歌山の人だからとか、
語り部の方は歴史の話から芸能のことまで実に話巧みで飽きさせません。
この方々もシニアの方です。
日本はこのシニアの方々が元気にして下さってるんだなーと実感します。
旅行にどんどん出ていき、その地域にお金を落とし、新たな知識を吸収し、
美味しいものを食べ、歩き、感動し、また旅に出る。
とても豊かに人生を謳歌されています。
世界遺産の最初の巡礼路のフランス・スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの
巡礼路はキリスト教三大巡礼地の一つで聖ヤコブの遺骸が眠る聖地だそうで、
同じ年代に似たような文化があったという不思議に驚きです。
旅立つ前には、図書館で借りた本でバッチリ予習で更にパワーアップですね。
さあ、次はどこに行こうかな・・。
参考文献 『世界遺産巡礼の道をゆく‐熊野古道』 (748/ミ)