タイトル:『死神の精度』
著者:伊坂 幸太郎
出版社:文藝春秋
請求記号:913.6/イ
資料コード:650044135他
~死神~生命をつかさどる神。
大きな鎌を持ち全身黒ずくめ、怖い、といったイメージでしょうか。
この作品の主人公・死神の千葉は、容姿は人で音楽をこよなく愛する死神です。
人間の死そのものには興味がない、とクールに仕事をこなす一方で、
交わす会話がどこかずれていたり、CDショップの視聴コーナーで曲を聴くのが大好きだったりと
思わずくすりとさせられる人柄(神柄?)です。
千葉の仕事は、人間界に派遣される調査員。
1週間後に死を迎える調査対象者(人間)が、死を実行するのに適しているかどうかを判断し、
その報告をします。
千葉が「可」と報告(ほとんどがこれ)すれば対象者は8日めに死を迎えます。
ただ、どのような形で死を迎えるのかは調査担当の千葉には知らされておらず、
対象者の死を見届けて任務が終了します。
会社に抜き打ち調査をされたり、CDショップの視聴コーナーに同僚がいたりと
さながらサラリーマンみたいな設定かと思えば、
素手で触ると人が失神したり、人に殴られても睡眠をとらなくても平気だったりと
千葉が人間的な部分と神の部分とが混在したキャラクター設定になっているところも面白いです。
作品は6編からなる短編集で読みやすく、
死を扱った内容であるにもかかわらず読後感は重くない、
どこかファンタジーのような世界観を感じる作品です。
実は伊坂幸太郎さんが有名作家であるにもかかわらず、作品を初めて読んだ私。
私と同じような方にも導入作品としておススメです。
また、長編を読むには読書体力が…という方にもおススメです。