タイトル:『正妻 上』
中央図書館資料コード:611613534
タイトル:『正妻 下』
中央図書館資料コード:611613543
著者:林真理子
出版社:講談社
請求記号:913.6/ハ
書架をブラブラしていてふと目に留まったそのタイトルに
「ええッ、セイサイってか」
思わず声がもれ、反射的に周りを窺ってしまった。
正しい妻という字面、なんだか古臭いわ、死語だよ。
とつぶやきながら、借りて読んでみた。
徳川幕府最後の将軍慶喜とその妻美賀子の、生い立ちから亡くなるまでの物語。
史実に沿っているものの、正妻の美賀子と妾の芳の視点で語られる幕末から明治は、
将軍さま慶喜ではなく人間くさい慶喜が描かれている。
慶喜だけではない、公家、岩倉具視、大奥、篤姫、和宮…。
林真理子の筆にかかれば、明治維新という国の一大事もあっさりとしたものである。
いつの時代も女たちはぶれない信念をもって生きている。
著者からのエールがきこえた。