書名:ヤッさん 神楽坂のマリエ
著者:原宏一
出版社:双葉社
請求記号:913.6/ハ
『床下仙人』や『トイレのポツポツ』など、知らない人は知らないけれど、
知っている人には味のある作家として支援されている原宏一。
地味なんだか派手なんだか、おとぼけなんだか鋭いのだか、何とも形容しがたいけれど、
自分はとても好きで愛読している作家の1人です。
その中のお気に入りが「ヤッさん」シリーズです(シリーズといっても2冊しかありませんが)。
ヤッさんは銀座、築地、新橋などを拠点とするホームレスです。
といっても、一般にイメージされるホームレスとはまったく異なります。
日々筋トレに励み移動手段は常に駆け足、公園の蛇口で清潔を保っている
男気に溢れた人物で、築地市場や有名料理店で情報を提供し、
その対価に食事を提供してもらい生活しています。
そんな暮らしぶりは、現実にはあり得そうにないけれども、
一本気で義理人情に溢れたヤッさんの人物像からは、
こんな人がいても決しておかしくない、と思わせます。
もし実在していたら、惚れることはなくても友達になって一生つき合いたい。
そう思わせる人物がヤッさんなのです。
『神楽坂のマリエ』は『ヤッさん』の続編で、どちらにも若い新人ホームレスが登場します。
彼らがヤッさんや食に携わる人たちと関わりながら、生きる力を得てゆく姿からは、
人と信じ合うことの大切さ、食へのこだわりなどがしみじみと伝わってきます。
軽快なテンポですらすらと読めるのに、奥深く、読後感がほっこりするので、
心が疲れたときにぜひ読んで頂きたい作品です。
書名:霧のむこうのふしぎな町
著者:柏葉幸子
出版社:講談社(講談社文庫)
請求記号:Y913.6/カ・913/カ(児童書) 子ども頃に読んだ本を今でも覚えていますか?
『千と千尋の神隠し』に影響を与えたと言われているお話しです。
主人公のリナはどこにでもいる普通の小学6年生の女の子。
そんなリナがお父さんのすすめで夏休みに霧の谷にひとり旅行へ行くことに。
下宿先のピコットさんは意地悪なおばぁちゃん。
「働かぬもの食うべからず」と言われ
リナは渋々、働きだします。
今まで働いたことが無く自分は何にも出来ないと思っていたリナ。
おまけに働く先は変わったところばかり。
特に変てこりんな本屋さんナータのお店でのエピソードが好きです。
リナ「みんな古本なんですね」
ナータ「古い本になると魅力も強くなるから…本って人をひきつけて、
その人に影響をあたえるってことがあるでしょう。その力のことよ」
本は不思議な力をもっていますよね。
大変なこともあるけれど…
働く楽しさ、他の人たちとの関わり。
周りに居るちょっと変わった人たちの中でリナは少しずつ学び成長していく姿が
とても印象的でした。
大人になると児童書を手に取ることはなかなか無いと思います。
今だからこそ理解できたり、他の視点で楽しめたり、
ひとつひとつの言葉が心に沁みることも。
読み返してみるとまったく違う印象を受けるかもしれません。
たまには思い出の児童書を読むのもおススメです。