タイトル:『全米は、泣かない。伝え方のプロたちに聞いた刺さる言葉のつくり方』
著者: 五明 拓弥/著
資料コード:612010795
請求記号:674/ゴ
(資料詳細はこちら)書架の前を通る度、目立つ黄色い背表紙に『全米は、泣かない。』
と黒い文字ではっきりとタイトルが書かれたその本が気になっていました。
この本は、グランジというトリオを組んでいる芸人の五明拓弥さんが、
様々な業界の「伝え方のプロ」と対談した内容が収められています。
五明さんはあるきっかけでラジオCMを作りました。
そのCMが東京コピーライターズクラブ主催のTCC新人賞に選ばれたことで、
もっとCMを作る仕事がしてみたいけどどうしたらいいの?と思い、
いろんなプロに話を聞いてみるこの本の企画が生まれたそうです。
広告業界に詳しくない私は、表紙に並ぶ対談相手の方々のお名前を
ほとんど存じ上げませんでした。
しかし冒頭の紹介を読むと、「au三太郎のCMを作った…」や
「LUMINEの広告のキャッチコピーを書いた…」などという説明が
お名前の前に足されていて、あぁ!あの!と挙げられている広告や
CMがすぐに頭に浮かんだので、広告とはすごいものだなと感じました。
7人の方とされた対談の中で、私がとくに心に留めておきたいなと思ったのが、
日本でたった一人だけ「映画惹句師(じゃっくし)」という肩書を持つ、
関根忠郎(ただお)さんの言葉です。
映画惹句師とは、映画の宣伝文を専門に手掛ける
コピーライターのことだそうです。
仕事への取り組み方について関根さんがお話しされた文章を引用します。
“何でも生真面目にやってはいけないんです。いい加減な部分を持っていないと、
余裕はできません。いい加減っていうとズボラなヤツだけれど、
「いい、加減」っていうのを意識する。”
車のハンドルは15%が遊びになっていて、その遊びがあるおかげで
運転がしやすくなっています。これが「いい、加減」の象徴だそうです。
「いい加減」ではなく、「いい、加減」。
日々この言葉を思い出し、余裕を持って働きたいと思いました。
言葉と向き合って仕事をされている方々の言葉は、刺さるものが多いです。
広告や言葉を扱う仕事に関わる人にはもちろん参考になる本だと思いますが、
コミュニケーションや、仕事に向き合う姿勢についての話など、
広告業以外のお話しもたくさんされているので、
働く人全てが対象になる1冊だと思います。