2013/04/19 | For their hearts were full of spring | | by 図書館スタッフ |
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桜の季節も終り、5月には新緑の季節が到来。
やっと自分にとっての"春"の到来です。
悩まされてきた花粉症に開放される時です。
この暖かくなる季節、昔なら誰でも喜んだのに、花粉症の人が増えて
同じ思い悩みをかかえている人も多いのではないかと思います。
花粉症は、様々な要因があるようですが、
1つには現在の食生活の変化と、
大気中の汚染等が複合化したアレルギーと言われているようです。
しかし、何故自分がそうなってしまったのか今でも信じられない感じです。
子どもの頃はスギ林の中で駈けずり回っていたのに。
さてこの春の季節は、進学、就職など人生の節目の季節です。
ライフサイクルが一巡する方もいらっしゃるでしょう。
こんな時、私が開いてみたくなる本を紹介したいと思います。
書名:雪のひとひら(初版1975年)
著者:ポール・ギャリコ 訳者:矢川 澄子
原書名:Snowflake
出版社:新潮社
請求記号:933.7 /ギ
初めて読んだのは高校生くらいだったでしょうか。
多感な時期であったので、心締めつけられる想いで
いっぱいになったことを覚えています。
物語は雪の結晶である、「雪のひとひら」が寒い冬の高い空の上で誕生し、
地上に舞い降り、春になって一生の終りに天高く上り、消えゆくまでを描いています。
雪の誕生から死にいたるまでの数々の旅は、"人"の人生を映しとっていて、
平凡な自分と重ねあっていきます。
雪の結晶から水滴へ。川へ湖へ、大海原へ、姿も場所も人生のように変わっていきます。
そして「雪のひとひら」の最期、昇天する時、どこからともなく、
天から声が聴こえてきます。
「ごくろうさまだった、小さな雪のひとひら。さあ、ようこそお帰り」
一生を終えるこの時に聴こえてくる、この言葉が強く胸に響きました。
アメリカの作家、ポール・ギャリコは多くのファンタジーを書いていますが、
この作品が一番好きな作品です。珍しいところでは、
映画「ポセイドン・アドベンチャー」の原作も手がけています。
日本訳は永遠の文学少女、故、矢川澄子さん。
透明感ある描写が繊細で素晴らしいです。
自分の人生は平凡な一生なのかもしれない。
一生を振り返った時に、全ての出会い、全ての出来事を大事にして、
日々がんばって過ごしていこうと思います。