タイトル:『エルガー チェロ協奏曲/エニグマ変奏曲』
演奏:ジャックリーヌ・デュ・プレ(チェロ)
資料コード:630015350
請求記号:C7CQ/エ
記録的な猛暑だったのを忘れそうになるほど、朝夕めっきり気温が下がり、
街路樹の木々も色づき始めました。
快眠もとれ、食欲も旺盛、でもたまにはどっぷり感傷的な気分になるのもよいかも・・・
というあまのじゃくさんにおすすめの曲を紹介します。
イギリスの作曲家エドワード・エルガーの名にピンと来なくても、
「威風堂々(第一番)」や「愛の挨拶」を聞いたことがない人はいないでしょう。
意気揚々としたり、穏やかな気持ちになれる名曲です。
「チェロ協奏曲」は同じ作曲家のものとは思えないほど、心の奥深くに入り込み、
大きく魂が揺さぶられるような激しい悲壮感をもった曲です。
そしてこの曲を語るときに欠かせないのが女性チェリストのジャックリーヌ・デュ・プレの存在です。
彼女の演奏スタイルは動画サイトなどでもわずかに見ることができますが、
表情豊かな演奏に圧倒されてしまうと同時に、ほとばしる情熱がそのまま音になって
聴く者のこころに深く染み入ってきます。
このチェロ協奏曲によりいっそう心を動かされるのは、
デュ・プレがたどった栄光と悲劇の人生と重ね合わせて聞いてしまうからだと思います。
彼女はわずか10歳でコンクールに入賞し、
16歳でエルガーの「チェロ協奏曲」でデビューするやいなや国際的な名声を得ます。
私生活では21歳の時、ピアノ演奏家で指揮者でもある
ダニエル・バレンボイムと結婚、とまさに順風満帆でした。
そんな彼女を多発性硬化症という演奏家生命を脅かす難病が襲います。
わずか26歳で。
その2年後には満足した演奏ができなくなり引退、そして42歳という若さでこの世を去ります。
自分の指が徐々に思い通りに動かなくなるという過酷な運命を思うとき、
魂を凝縮したような圧巻の演奏に彼女の激しい命の炎を感じてしまうのかもしれません。
ちなみに、デュ・プレが愛用していたチェロは1713年製ストラディヴァリウス “ダヴィドフ”で、
現在はヨーヨー・マが演奏しているということです。
さらに、彼女の名前が捧げられた「ジャックリーヌ・デュ・プレ」というツルバラがあり、
横浜イングリッシュガーデンで見ることができます。
7~9㎝の八重の純白色、花芯が赤い、とてもチャーミングなバラです。
白で花芯が赤いバラは他にないので、特徴を覚えるとすぐに見つけることができます。
こちらも、ぜひ。