西の方の生まれなので大阪にはなじみがあると思ってきた。
しかし思い起こすと、ミナミ・キタ以外で行ったことがある大阪といえば、
万博当時の千里くらい。
そういえば、小学校の修学旅行は関西方面といっても、京都・奈良だったし、
大阪城にすら行ったことがなかったなあ…
そんな「大阪不慣れ」な私を今回アテンドしてくれるのは、
『ブラタモリ 10 富士の樹海 富士山麓 大坂 大阪城 知床/
監修:NHK「ブラタモリ」制作班』。
まずは番組で紹介されたスポットから、移動手段は「徒歩のみ」で
行ける範囲を前提に、大阪を体感できそうな場所を選定。
そこで、①「上町台地」②「大阪城」③「空堀」
④「町名に見る秀吉の街づくり」の4つを目標に回ってみることにした。
宿泊地の中之島をスタート。中之島公園では今を盛りと咲き誇るバラが
かぐわしい香りを漂わせている。昨年まであったスタンダード仕立ての
「アイスバーグ」は、和バラを中心に香りのよい種類に植え替えられている。
バラの美しさに元気をもらって、大川沿いを東に。
天満橋駅の西側の船着き場が当時の海の玄関であり、上町台地の北の端、
そしてそこを南に行くと、階段があって、上町台地が
一段高い場所にあることがわかるはず…
って階段はどこ??坂はあるけど階段はないぞ。
どうやら行き過ぎたらしい。左手に大阪城が見えてきた。
はああ、早くも第一地点見逃し。
しかし、一段高い場所であることは十分わかるからよしとしよう。
初めて間近で見る大阪城はとにかく城壁が立派でお堀の幅が広い。
いったいどれだけの規模の城なのか…圧倒されて言葉も出ない。
秀吉が天下統一のあかしとして建て、「日本で最も堅固で難攻不落」
と言われていた大阪城だが、大坂夏の陣で焼け落ちた後、
徳川が盛り土をして秀吉が造った城壁を覆いつくし、
さらにその上に現在の城壁に造り変えたとは本当に驚きだ。
昭和34年に秀吉時代の城の石垣が発見された場所も
マンホールのような筒状のものが出ているだけだが感慨深い。
天守閣から遠足できたのだろうか幼稚園児たちが
「お~い、お~い」と叫ぶ声を聞きつつ、南へ。
次のスポットは上町中学校付近、秀吉が南からの攻撃を防御するために
水のない堀、空堀を造ったことがわかるスポットを目指す。
大阪城を出てすぐ南の広い空き地、「難波京」とある。ん?難波京??
(難波宮は奈良時代に聖武天皇が一時首都を置いていた場所で、
この地で大化の改新が行われたそうだ)
大阪城から南へ2キロくらい、通りの角を曲がれば目指す上町中学校。
回り込むように中学校の横の道を見ると確かに下がっている。
そして「空堀商店街」に向かって今度は上がっている。
ふと見ると石の道しるべがあり、「熊野街道 大坂天満八軒家から2.2km」
と彫られている。
半年ほど前、「熊野古道のことを調べたい」というレファレンスを
受けたことを思い出した。
大川の船着き場から続くこの道が「蟻の熊野詣」というくらい
盛んに行われた熊野詣のための古道の始まり付近の道か!
「空堀商店街」をアーケード沿いに西に進む。
急に道が下り坂になるあたり、細い路地を入ると、柵の下は切り立った崖、
立っている場所はがけの下の二階建ての屋根より高い位置。
この場所こそが、陸続きの南側からの攻撃を防御するために
秀吉が掘らせた空堀の名残。
さきほどの上町中学校あたりの不自然な道の高低も
空堀を埋めた痕跡が残る地域だったのだ。
『ブラタモリ』によると、空堀は幅が30~40メートルくらい、
高さはビルの3階がすっぽり入るほどのものだったとか。
今度は北へ向かう。秀吉が町民のコミュニティ作りのために、
町を通りやブロックごとではなく、通りに挟まれた向かい同士を
一つのユニットとして作ったことを町名から確認するためだ。
町名の書かれた看板を見ながら歩く。
「大手通」、通りを渡っても「大手通」。しかしちょうどブロックの
半分あたりになると「内淡路町」、通りを渡っても「内淡路町」。
同じことが「内平野町」「船越町」と続く。通りを挟んで
顔を見合わせる人たちを基盤に一つの町を構成するという
発想のユニークさには舌を巻く。
ちょうど歩いていたのは上町台地の西の端あたりを北の方向へ。
西に向かって土地がずっと下がっているのがわかる。
第一地点の階段は見逃したが、上町台地が縄文時代には南から
半島のように突き出た土地で、東・北・西の三方は海だったことが
遅まきながら、少し体感できた。
なんとか4つの目標は達成できたと言えるだろうか。
地図を見ながら歩くこと5時間あまり、『ブラタモリ』のおかげで
少しは大阪の歴史の奥行を感じることができた。
最後に西に足を延ばして靱公園へ。この公園にはたくさんの種類の
イングリッシュローズが植えられている。中之島公園といい靱公園といい、
大阪には町の中心に市民が憩える公園があるのが素晴らしい。
よいリフレッシュができた。
明日から仕事頑張ろ。