夏の終わりに面白いくらいにすってんころりと足を滑らせ、尾てい骨を道路に打ち付けてしまった。痛みで呆然とうずくまりながら、骨折かひびか、もしかして寝たきり生活が始まるのかなど最悪な状況が頭をよぎった。
幸いひびも骨折もないとの診断。ついでに骨粗しょう症が気になっていることを相談してみた。体格や体質の似ている母が、晩年骨粗しょう症のため脊椎圧迫が起こり、痛みやしびれに苦しんでいたので、いずれは自分も同じような状態になるのではという恐れを持っていたのだ。
骨密度の指標は、若年成人(20〜44歳)の骨密度の平均値を100%で表し、80%以上を「正常」、70〜80%を「骨量減少」、70%未満を「骨粗しょう症」と判断されるとのこと。
骨粗しょう症率は50代以降の女性で高くなり始め、60代女性では5人に1人、70代女性では3人に1人が骨粗しょう症であるといわれているくらい、加齢との関連が高いものらしい。
懸念通り、「骨粗しょう症」のレベルに達していたことが判明した私は、飲み薬での治療を受けることになった。ただ、骨密度は急に上がったりしないものらしい。むしろ低下するスピードを抑制する効果をねらうとのこと。薬の服用に合わせ、ストレッチで柔軟性を保つこと、ビタミンDやカルシウムを含む食品を摂ることを推奨された。
さて、ビタミンDは天日干しの食品に多く含まれる。天日干しが家で簡単に作れ、日常的に摂取できる食品として、シイタケを思いついた。ベランダで干しておけば、お天気次第で3、4日で作れる。あらかじめ細めに切ってから干すともっと短時間で干しシイタケになる。干すことによってビタミンDが増えるだけでなく、味も深くなり、さらに冷凍庫で長期間の保管も可能となり一石三鳥だ。豆腐が好物なので、朝食に戻したシイタケと一緒に湯豆腐でいただいている。シイタケの素材にもこだわりたいので、遠出した際には道の駅に必ず立ち寄る。風味豊かな肉厚のシイタケに出会えたときはことのほかうれしい。
次にカルシウム。我が家では煮干しで味噌汁のだしをとる。そのため、出殻を再利用すればカルシウムも日常的に摂れることに目を付けた。家人がいろいろなレシピを試し、オリーブオイルでカシューナッツを炒め、出殻の煮干しを加えたら砂糖、みりん、しょうゆでからめるのが、最も手軽でおいしく頂けることを見つけてくれた。
災い転じて福となす。骨粗しょう症から始まるちょっとおいしい生活。これからも健康第一に過ごしていきたいものだ。