●図書館運営業務の公・民役割分担
公共図書館は社会教育法において「社会教育のための機関とする」と定められている。社会教育施設としての位置づけから、図書館運営の全てをPFI事業者に委ねることは適切ではなく、基幹的な業務については市が主体となって運営する。
<市の役割>
各種サービスの方針決定、規則の策定、購入図書・資料の決定、各種団体・ボランティア等との連絡・調整等
<PFI事業者の役割>
窓口業務、図書登録・資料管理、システム調達及び管理(分館含む)、購入図書の提案作成、サービス内容の企画提案、備品管理等
●運営業務においてPFI方式が有する利点
公図書館運営業務において従来型の委託方式に比べてPFI方式が有する利点は以下の通りである。
- 従来型の委託の場合は、各委託業務を個別に単年度契約しているのに対して、PFI方式の場合はこれらの業務を一括して1事業者(グループ企業が出資するSPC)と長期契約する。これによりPFI事業者は長期的視点で投資計画、運営計画、社員教育プログラム等を行うことが可能となり、結果として従来型より効率的かつ水準の高いサービスの提供が可能となる。
- 従来型の委託の場合は、市からの詳細な委託仕様、指示に従ってサービスの提供がなされるものであるのに対して、PFI方式の場合は事業契約に性能水準を規定し、その性能水準を達成するための具体的な方法についてはPFI事業者に一定の裁量権を持たせること(以下「性能発注」と言う。)で、PFI事業者は自らのノウハウを最大限に活かしてサービスの提供ができる。
- PFI事業契約では、サービス水準が適切に保たれているかどうかの基準を詳細かつ明確に定めたうえで、提供されたサービスが要求した水準に満たない場合は、契約で定めた手順に従い是正措置を求め、是正が認められない場合はサービス対価の減額を行うことを規定する。また、利用者数が当初予想以上に増加し要求水準を維持するための費用の増加が明らかな場合には、市はサービス対価にボーナスを上乗せするなどの措置を付与することで、PFI事業者が規定のサービス水準以上のサービスを提供しようという意欲を喚起させることも可能である