中央図書館には、まず、資料・情報の収集・提供を中心とした基本的機能の拡充が求められている。特に、最近のIT技術を有効に生かし、情報を共有化し、図書館ネットワークの中枢として、市内の全図書館について、蔵書構成、資料・情報の提供サービス、運営管理システム等をより高度に構築する必要がある。
また、生涯学習の拠点として新たに望まれるのは、「Inagiあいプラン」で謳われている「市民どうしの“つなぎあい”の舞台」に対応する、市民の創造活動への支援と、市民が憩い、交流できる場の充実である。こうした要素が付加された図書館は、昨日までの稲城市立図書館の概念を変えたものになり、新しい稲城の図書館としての個性づくり、特徴づくりにつながっていくと思われる。
●地域の情報拠点 -図書館基本機能の充実-
図書館は、市民が考え、学び、自分で決定していくための資料・情報を無料で提供することによって,市民の知的自由を公的に保障するという役割を担っている。また、資料・情報に接することで知的好奇心が刺激され、学習意欲が向上するという面も図書館のたいせつなはたらきである。
資料・情報の提供という図書館の基本的な機能の充実を図るためには、1)多様な資料を豊富にバランスよく備えること、2)だれでもどこでも利用できること、3)IT(情報技術)の活用、4)ネットワークによるサービスの提供が重要である。現在行っているサービスのレベルアップとともに、時代にあったサービスメニューの拡大を図り、地域の情報拠点としての役割をはたすことが必要である。それとともに、稲城市の図書館ネットワークの中枢として、市内の図書館をバックアップし、市全体の図書館サービスの充実を図ることが重要である。
●創造と交流の場 -創造活動の支援と交流-
自ら学び、自らを高めようとする市民の生涯学習への意欲を支援する核となる施設としての機能が求められる。学習・創造活動への支援としては、資料・情報の提供を中心に、活動の場や学習機会の提供があげられる。学習や創造活動はそれだけにとどまらず、豊かな人間関係を育み、さまざまな活動を通して社会とつながることがたいせつである。図書館には、ボランティア活動などを通して、学習や創造活動の成果を地域社会のなかで活かす機会が多くある。市民どうしが出会い、交流から人々のつながりが生まれ、地域社会を豊かにする力が育まれるという循環を活かしていくこととが必要である。
また、図書館でゆっくり資料を楽しみたい、学習したいという個人の滞在型の利用にも十分配慮し、学びの場、憩いの場、居場所とし機能することも重要である。