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2017/11/18

運慶、すげぇ!

Tweet ThisSend to Facebook | by 図書館管理者

「運慶、すげぇ!」 

……とは、仏像好きで知られるイラストレーターのみうらじゅんさんの言。

現在(11月末まで)上野の国立博物館で「運慶展」が開かれています。
よく駅などにポスターが貼ってあるのでご存じの方も多いと思います。
図書館にも貼ってありますよ。


仏像好き運慶好きを自認する身としてはこれに行かずしてなんとしょう、
となんだか変な言葉遣いになって早々と前売り券を購入し、手ぐすね引いて
待ち構えていました。


いましたのですが。

この手のものはなにしろ混みます。始まってすぐの時期は特にそうでしょう。

運慶は大好きですが、それと同じぐらい行列が大嫌いです。
「3時間待ち」とか言われたらどうしよう。

少し待って会期の中ごろになれば多少落ち着いてくるかしら、
などと思っていたちょうどその頃、テレビの美術番組で運慶展の特集が。
件のみうらじゅんさんの発言はこの時のものです。


…やれやれ。おかげで人出が盛り返してまた増えるだろうな。
しかたなくさらに2週間ほど待ち、さすがにもうこれ以上待てないよー、
と我慢できなくなった11月某日。ようやく、いそいそと出かけました。

 

上野駅の公園側出口あたりというのは、つねに大勢の人がぞろぞろ
歩いているところです。その流れに乗って歩いていると、なんだか
自分以外の全員も運慶展に行く人のような気がしてきて、気が急いてきます。


負けてはならじ、と、また変な言葉遣いになって、気分は小走り。
歩いていくうちに各方面に分散していくのですが、やはりかなりの人数が
国立博物館を目指しているもようです。さらに小走りになって(気分が、)
会場の平成館に到着すれば、おお、やはり行列。「20分待ち」。
20分ならたいしたことないや、ラッキー、と並びましたが、実際には
10分ほどで入場できました。ほんとにラッキー(^0^)。

さて入場すると、まず出迎えてくれるのは、奈良県は円成寺蔵の大日如来。
運慶20代のデビュー作。超、個人的な話ですが、私の最も好きな仏像です。
その大好きな大日如来さまをガラスなどで隔てられることもなく間近で
じっくり見られるのですから、顔もでれ~っとにやけてこようという
ものです。


よだれの垂れそうな顔になって、まずは正面から全身のお姿をとっくり
眺める。右横顔を眺め左を眺め、後ろから背中を眺める。もう一度正面に
回って、カッコよく印を結んだ両手をほれぼれと眺める。凛とした少年の
お顔の仏さま。いやー大日如来、やっぱりいいわ!しょっぱなの
大日如来さまだけで、おなかいっぱいとまではいきませんが腹八分目ぐらい
満足です。

 

仏像を見るたびに思うのですが、仏師はモデルを使ったのでしょうか。

特に、運慶といえば「=リアリズム」なわけですが、たとえば今回の
目玉のひとつである無著・世親像。インドの高僧だそうですが、
どう見てもリアルに日本のじいさまのお顔だし。まあ運慶さんインドの人を
実際に見たことなどなかったでしょうから、当然か。

やはり目玉の八大童子像。年甲斐もなく思わず「カワイイ~っ♡!」と
声が出たほどいきいきした表情で、こんな感じの子、本当にそこらへんに
いそうです。モデル、近所の子どもだったとか?とすると、
「運慶のおいちゃん、ぼく疲れたよ~。ちょっと座って休んでいい?」
「まだまだ。もう少し辛抱せんかい!」なんてやりとりがあったりして
笑。……………しょうもな(^^;)。

 

運慶仏には瞳の部分に水晶をはめ込む「玉眼」という手法を取り入れたものが
多いことはよく知られていますが、その玉眼の帝釈天を見ていた時です。

見上げた角度や位置とライティングがちょうど良い具合だったのか、
瞳がめらめらと燃え上がるように金色に光って見えて、思わず息を呑んだ
瞬間がありました。


その昔は、薄暗いお堂の中ろうそくの灯りを受けて、炎の瞳でたたずんでいた
であろう帝釈天や不動明王。さぞや迫力があったことでしょう。
…と想像すると、管理・保存が大事なことはわかるけれど、仏さまには
ガラスケースに入ったりなどせずお堂にそのままお立ちになっていて
ほしいな、と思うのでした。それに仏像って文化財でもあるけれど、
そもそもは信仰の対象なのだし、ね。

 

余談。

逸品ぞろいの運慶展、大満足。とりわけ、大好きな大日如来と可愛らしい
童子の余韻が残り、口元がゆるんでしまりのない顔のまま帰宅しました。
そこに息子の冷たいツッコミの一言。「仏像見て笑ってるおばさんて
不気味じゃね?」

 

図書館ではもちろん運慶関連本を数多く所蔵しています。イチオシは
もちろんもちろん大日如来の写真集!わざわざ上野まで
行く気はしないけど…、という方もぜひご覧になってみてください。
運慶、すげぇ!……と思われること請け合いです。


<資料紹介> 

『魅惑の仏像 28』写真・小川光三(請求記号:718/オ)
中央図書館所蔵(資料コード:610403908) 


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